記事公開日:2017年9月24日
最終更新日:2018年4月4日

VALU

『VALU』は評価経済ではなく貨幣経済のサービスでは?~評価経済の行方~

最近、「評価経済」という言葉が話題になっている。

今年登場した『VALU』サービスなんかは、「まさに評価経済の幕開けだ!」と注目を集めている。

評価経済とは、行き着くところお金ではなく評価で回る経済。

で、VALUのように無償でお金を提供し、結局は評価→お金に換えているサービスは、評価経済ではなく実は貨幣経済ではないの?というお話。ふとそんな風に考えた。

ちょっと話題的に、少々固い書き方になってしまいますがお許しを。

 

※VALUの批判ではありません。VALUが何に該当してくるかの話です。

 

評価経済・貨幣経済・寄付・乞食 まずこの4つ

 

評価経済とは?

「評価経済」が具体的になんなのかは、今のところ明確に固まっていない。

これまでは、お金のやり取りによって経済が成り立っていたわけだが(貨幣経済)、それが知名度・人気・影響力といった”評価”に成り代わった経済。またお金よりも評価が重視される経済。

そんな枠組みを、評論家で、『エヴァンゲリオン』などを製作する株式会社ガイナックスの元代表取締役としても有名な「岡田斗司夫氏」が”評価経済”と名付けたのがそもそもの始まり。

まだフワフワした部分もある言葉であり、具体的にこれが評価経済だという定義はない。

経済とは?

「経済」とは、それぞれが価値を生産し、それをお金で取引することで社会が回る仕組みのこと。(これまでの貨幣経済での経済)

たとえば、飲食店で接客業をする→接客価値を提供してお金を得る→そのお金で食べ物などを買って生きていける、そんなお金で回る社会がこれまでの経済。

で、「評価経済」は、評価がお金に成り代わった経済。

知名度や人気といった評価を武器に価値を生み出す。たとえば有名人が握手会などを開催して価値を生み出す。ファンにとってはそれでも価値になる。
その対価として食べ物など衣食住に必要なモノを貰い、生きることでき、社会が回れば、それが評価経済になってくるのではないかと。

フワフワした部分もあるけど、評価経済とは行き着くところそんなものだと考える。

経済とは?

㋐人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される社会関係。
㋑金銭のやりくり。「わが家の経済は火の車だ」
㋒費用や手間のかからないこと。倹約。「弁当を持っていくほうが経済だ」

『デジタル大辞泉』より

 

寄付とは?

「寄付」とは、たとえばNPOや医療団体など、何かの社会的価値を生み出す相手に無償でお金を提供すること。最近は「クラウドファンティング」のような、活動の資金が必要な個人に対して寄付できるサービスも出てきている。

相手が得た資金でなんらかの社会的価値を生み出すのであれば、寄付も経済を成りたたせる上で必要になものとなってくる。

乞食とは?

「乞食」とは、他人に無償でお金や物品を乞う行為のこと。自らは何も生みださず金品を得るため、経済活動には含まれない。

たとえば、収入も生活費もなく、路上で道行く人に援助を求めるホームレスが分かりやすい例。そこまでいかなくとも、最近はネットを使いちょっとしたおこづかいを貰う「ネット乞食」行為も増えてきてる。

なお乞食行為は、日本国憲法第27条により法律上禁止されている。

 

 

2.で、『VALU』は本当に評価経済のサービスなのか?

で本題となるVALU。

VALUは、「評価経済の幕開けだ!」、「まさに評価経済サービスだ!」と一部で称えられている。

さて、VALUはどれに該当してくるのか。

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ここで注目したいのは、VALUは支援者へのリターンが必須ではないこと。VALUは「優待」でリターンを付けることは可能だけれど、それは強制されていない。むしろVALU運営も強調している通り、「好きな相手にリターンなしで無償でお金を差し出してください」的なサービス。

どちらかというと寄付に近い。

また、ちょっとディスるが、中には得たお金で何も活動を行わず、ただお金を貰っているだけの人もいる。「とにかく買ってください!」とあからさまに買いを乞う人もいる。
これは社会的価値自体も生み出していないので、経済というよりは言い方は悪いが乞食に近いのではないかと。

さらに、VALUは評価経済サービスと言われつつも、結局のところ知名度や人気といった評価をお金(BTC)に換えている。お金に戻している。言ってみれば、貨幣経済の側面に縛られている。

 

VALUを通じて評価をお金に換えお金に依存しているのであれば、結局は貨幣経済のサービスのように思える。加えて、もしVALUで得たお金で何も生み出さないのであれば、経済活動の枠組み自体からも離れたものではないかと。

最近は、「Twitter等インターネット上での知名度や影響力がお金に変えられることこそが評価経済である」といった声も増えてきているが、こういった考え方にも同じようなことが言える。

 

 

 

 

3.真の評価経済サービスとは?

真の評価経済サービスとは、本人は評価を利用して価値を生み出し、それで食べ物など衣食住に関わるモノ、つまりお金以外のモノとして得られるサービス。そんなサービスが評価経済サービスなんじゃないだろうか。

価値を生み出す、お金から切り離すがポイントな気がする。

最近VALUに似た『Timebank(タイムバンク』というサービスも登場した。

Timebankも結局は時間の評価をお金に換えているが、買った時間を行使することで価値を生み出す側面があるため、VALUよりかは評価経済に近いサービスなのかもしれない。

もちろんVALUがダメというわけではないし、革新的な面もある。でも評価経済サービスとは言えない気がする。

具体的には、たとえばこんな感じ。
ある人はIT技術のプロ。評価も高く知名度もあり、役立つ情報を価値として提供してくれる→そのお礼に私が作っている農作物をあげよう→この人は農業分野で評価が高く良い農作物を提供してくれる。私は得意な福祉サービスを提供しよう。

そんな流れができるサービスが登場すれば評価経済の幕開けかもしれない。

いずれにしても、評価があっても何も生み出さず、ただお布施のようにオートマチックにお金や物品が集まってくる状態は、評価経済や評価経済サービスとは言えないのではなかろうか。

評価を武器に何らかの価値を生み出し、それにお金ではない対価が支払われ、それで経済や社会が回っていく環境が評価経済なのではと考える。

まとめ

評価経済という考え方自体まだしっかりと固まっていないため、少々持論も混じりました。

ちょっとうまく纏められたかった感はありますが、個人的には、評価で価値を生み出し、評価がお金に成り代わり、お金が不要になった経済・社会が評価経済なのかなと思います。
そんなことが出来るサービスなどが登場してくれば、評価経済は少しづつ進んでいくのではないかと。

もちろん全員が全員そんな評価経済で生きることは難しく、貨幣経済とは共存していく形にはなるかと思いますが。ベーシックインカムのようなことでも起きない限り。

 

関連:
特設ページ:「VALU」サービスまとめ

 

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