記事公開日:2017年3月4日
最終更新日:2019年3月30日

FF・スクエニ

生きる事の在り方、再び名作な『ニーアオートマタ』感想・評価・考察レビュー

絶賛発売中のPS4向けRPGソフト『ニーアオートマタ』。
今作も前作『ニーアレプリカント』に引き続きストーリーがとにかく濃いゲームでした。

ここではニーアオートマタをプレイした上での感想・評価・考察を書かせて頂きます。

※ネタバレをやや含みます。
※Aエンド~Eエンドすべてをみた上での感想となります。
※前作ニーアレプリカントも交えた、主にストーリーに対する感想レビューです。

1.ニーアオートマタ感想・評価・考察レビュー、「生きるということ、自我の在り方」を描いたストーリー

前作の『ニーアレプリカント』はとにかく”ストーリー”がウリな作品であり、まさに非の打ちどころのない完成度のシナリオであった。今回もその流れからストーリーを期待してこのゲームをプレイしたため、前作と風変りした世界観、また人×アンドロイドといった今では映画やアニメでありふれたよくある題材に、序盤は「これ前作の方が良かったんじゃないか?」という気持ちが尽きなかった。
とはいえエンディングまですべて見終わってみると、素直に面白く奥深いストーリーであり、感動し様々な事を考えさせられる作品であった。

ニーアオートマタで描かれていたテーマは、生きるという事の在り方、自我の在り方、それぞれの正義の在り方。
このテーマは描くことが本当に難しいテーマ。一つ間違えば押し付けがましいわざとらしい話となり、一つ間違えば厨二病的で陳腐なものにもなりやすい難しいテーマだ。
これを長時間プレイするゲームの特性を生かし、断片的にちりばめて、”背中で語る”ではないが、プレイヤーに考えさせながら自然に自問自答させるように描かれていた事が本当に素晴らしく素敵であった。
また、最近のRPGはどこか説明チックでくどいストーリーや会話が多い気がするが、ニーアは例えば機械生命体のテキストなど、会話の一つ一つにも相変わらずセンスを感じた。

さて、このテーマは、前作『ニーアレプリカント』も今作『ニーアオートマタ』も基本的には同じ。どちらの作品も”悪者”は存在せず、自分たちの生き方や生き様、己の正義の話だ。
前作はそれをレプリカント体の観点から主人公たちのミクロな視点で、今作はそれ人類×レプリカント×アンドロイド×機械生命体を交えもっとマクロな広い視点で描いている。
冒頭は「これ本当にニーアレプリカントの続編でいいの?」の疑問が尽きなかったが、しっかりと前作のテーマを継承し昇華させ、本質に迫っていたところも、とても好印象を持てた。
冒頭のロボットアニメ感全開の厨二的な展開から、ここに繋げたのも最高であった。おそらくフェイクで序盤はああいったノリを描いたのだろう。

私たち人間も、仲間を、家族を、美しさを、知を、恐れを、あるものは憎悪を、破壊を望み、様々な意志をもって生きている。そして身近なものを守り、遠いもの、意にそぐわないものには敵意を見せ、人同士で殺し合う事もある。
そんな人間の素晴らしさや醜さを、アンドロイドや機械生命体といった別の視点から、皮肉も交えつつ本質的に描いていたところが面白く、また考えさせられた。

2.ニーアレプリカントとニーアオートマタ、どちらが面白い話であったか

『ニーアレプリカント』と『ニーアオートマタ』、正直どちらの作品もストーリー・シナリオは素晴らしく、優劣つけるのは難しい。

とはいえ、”感動”や”切なさ”など感情的な面ではニーアレプリカントのストーリーの方がやはり上であったかなと思う。ニーアオートマタのストーリーももちろん一級品であったが、やはりニーアレプリカントの「砂漠の狼の話」、「Pちゃんの話」、「王子の話」などはあまりに完成し尽されていたため、一歩及ばなかった感はある。正直ニーアレプリカントのこれらのシナリオは、今後も超えられるゲームは出てこない気がする。

一方でニーアオートマタは”考えさせられる”ゲームであった。上でも書いたような生きる事の在り方、自我の在り方のようなものをゲームでありながらかなり考えさせられた。この部分はニーアレプリカントよりも上だと思う。
正直、同様のテーマを描いたアカデミー賞を取るようなシリアス映画よりも、ずっと感銘した。ゲームシナリオの枠を超えつつあるゲームだと思う。

画像はニーアレプリカントのもの

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3.ハッピーエンドのエンディングとは何だったのか、考察

事前の公表では、ニーアオートマタは、前作ニーアレプリカントよりもハッピーエンド的な展開のエンディングになると制作陣から言われていた。

とはいえ、結果は皆さんもご覧になった通り。Aエンド、Bエンドだけを見るのであればたしかに希望は見いだせるが、その延長線上にあるCエンド、Ⅾエンドは見るも無残な話である。ニーア制作陣のこのブレなささと、徹底的に潰してくる感じは、ある意味清々しさを感じる。

だが、見方によってはCエンド、Ⅾエンドもハッピーエンドであったのかもしれない。今回は2B・9S・A2・アダムイブ・パスカル・その他のアンドロイド機機械生命体についてもそうだが、始めに定められた”決まり”に縛らるのではなく、それを知った上で、自身の意志を優先して行動し決断し、結果ああいった最期を迎えた。

ニーアオートマタでは生きる死ぬ以上に、生き方や生き様、自我の部分を重要視して描かれているため、そういった意味ではCエンド、Dエンドもハッピーエンドとも言えるのかもしれない。ただ、それで考えると、ニーアレプリカントの登場人物達も自分たちの正義を貫きそれぞれの結末を迎えたため、ある意味ハッピーエンドとなってしまうが。

そして、問題のEエンドである。
Eエンドの仕掛けは、本当に凄いと思った。
『ニーアレプリカント』のDエンドではニーアの命を犠牲にカイネを救ったわけだが、今回はプレイヤー側の命(データ記録)を犠牲にして他プレイヤー救い、また2Bや9S、A2の記憶データを守り復活させる。
こんなきれいな形で話が纏まるとは思わなかった。そしてオンライン機能の見事すぎる使い方にも憎らしいくらい拍手喝采だ。また今回もニーアはエンディングで伝説を作ってしまった。

Eエンドに関しては、ニーアらしく、ニーアシリーズの総括とも言える非のつけようのないハッピーエンドだった。プレイヤー側からみても、データ記録は犠牲になったものの、自我を問われ、決断し、物語の一部に組み込まれた、ニーアオートマタをやってよかったと思えるハッピーエンドである。

またEエンドのラスト、2Bや9S達がキャッキャしたいかにもなハッピーエンドではなく、「では同じ結末を迎えるのではないか?」、「だが違う未来の形も存在する、未来は与えるものではなく獲得するモノだから」で、少し濁し可能性の範囲で幕を下ろしたのもよかった。
最後の最後までニーアらしかった。

 

4.グラフィックやゲームデザインについて

グラフィックについては、前作ニーアレプリカントではマップ上のグラフィックがやや粗かったが、今回は全体的に綺麗になっていたように感じる。巨大な敵や建造物の描写も迫力があった。最高水準とまではいかないが、PS4の大作RPGとして恥ないものかと。
ただキャラクターのグラフィックは、ニーアレプリカントでもかなり綺麗であったため、今回はもう少し頑張れたのではないかという感じはする。

バトルシステムについては、前作より爽快感が上がっており遊んでいて終始楽しかった。ハッキングシステムはネット上で不評が上がっているようだが、ハードモード以上での攻略の幅を広げる意味でアリなのではないかと。

唯一不満は、マップの少なさ。今作も前作に引き続きマップが少なくどしても世界が狭く感じた。シームレスに移動させるため限度があるのかとは思うが、もし追加DLCストーリーなどが用意されるのであれば、新しいマップなども見てみたい気がする。

まとめ

以上がニーアオートマタの感想評価となります。
かなり期待していたタイトルでありましたが、それに十分応えてくれたゲームであったと思います。
この手の前作が名作化したゲームは、続編で失敗するケースが多いわけですが、ニーアオートマタに関しては正直突っつく場所が殆どない完成度の高いゲームでした。PS4の名作といって過言ないのではないかと。
続編は何年先になるかわかりませんが、期待しています。このシリーズは安定して楽しめるシリーズになりそうです。

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コメント

  1. 11B より:

    ニーアオートマタ、本当によかったですね……
    Eエンドなんかも、最高でした。

    個人的にはエミールのクエストがかなり悲しかったですが、それでも最後にはこれでよかったんだと思えました。

    ニーアオートマタの前情報も参考にさせていただいてました。
    筆者さんも満足していただけたようでよかったです!

    1. syumi より:

      コメントありがとうございます。

      本当に最近では稀にみるいいゲームだったと思います。
      エミールも散っていた機械生命体にしても皆がハッピーエンドにはいきませんでしたが、それもまたニーアなのかなと。
      Eエンドは私もとても感動しました。こういったシナリオが楽しめる作品はもっと増えて欲しいです。

  2. KIKI より:

    個人的に前回のBエンドがあまりに衝撃的(号泣)すぎて、逆にすっきりしない部分があるのですが、どのエンド(A~E)も万人受けするいいエンディングだったと思います

    Aエンドのあとの広報部のお知らせや、Bエンド直後のこれからが本当の始まりですか?感はすごくツボにはまりましたしEえんどのシューティング(スタッフロール)の演出は鳥肌ものでしたね

    前回のエンディングからエミールが続投したように、次回は別の星でアダムとイブが登場なんて展開も期待してしまいます

    1. syumi より:

      こちらにもコメントありがとうございます。

      今回久しぶりに前作ニーアレプリカントの動画も見返しましたが、私も前作の2週目は本当に凄かったなと改めて感じました。たぶんゲームでここまで感動するのはもうないんじゃないかと思うくらいです。よくこんなシナリオが作れたなと。

      でも今作のEエンドなんかも、やはり素晴らしく驚き感動しました。本当に期待を裏切らないシリーズですね。今作は一応ハッピーエンド的にはなりましたが、パスカル村や王様、動物になった機械生命体など、ネットワークから切断され散っていた機械生命体たちにとってはやはり報われない話だったように思えます。簡単なDLCでもいいので、機械生命体のハッピーエンド的なIFバージョンも見てみたいかなと思いました。

      1. KIKI より:

        確かに教祖になったものや、動物になった機械生命体の話はもう少し掘り下げても面白いかもしれませんね、ただ前作のPちゃんや狼のような話は私の涙腺が持たないのごめんですが(゚うェ´゚)゚

        改めてみると大往生したのは超大型兵器エンゲルス(達)くらいでしょうか、最後に大活躍もみせますしw

  3. 匿名 より:

    考え方は人それぞれ、殺伐とした話しでしか感動を受け入れられないってのも虚しい時代になったと感じる。
    個人的には、例えロボットやアンドロイドでも人間以上に人間らしいと訴えて、全員皆殺しのお祭り騒ぎして喜ぶ神経がすでに理解に苦しむゲームだったかな?
    この作品を好きな人には悪いが、自分は、例えゲームでもやり過ぎと感じたゲームだった。
    精神的に痛み、更に流れや勢いでデータ削除で、文字通り、何も残らないゲームとなった。
    いや、トロフィーだけは残ったか。
    前作はまだ救いがあったが、今回は、ユーザーに心の在り方を説く割りに、全く救いもない無慈悲な作品を作り手はして来た感を強く感じた。
    少なくとも、個人的には、感動を通り越して無情しか感じられなかった。
    次回作云々の話しも上がっているらしいが、二度とやらないだろうな。
    と言うか、このヨコオ・タロウと言う人のゲームは、二度とやる気になれないと思う。
    昔、その道のある有名なプロデューサーが、有名な女優を起用して脱がせればピューリッツァ賞、しかし、AVで普通の女優が脱げばただのエロビデオ。
    こんな言葉を残したのを、このゲームをプレイして感じた。
    命の在り方を訴えて、命を弄ぶことでしか作品を作れないんだねきっと。
    まぁ、アンドロイドなんだけど。

    1. syumi より:

      コメントありがとうございます。
      個人的には、例えば映画『ニューシネマパラダイス』など純感動物も大好きです。ただその上で、くせ者であるこのニーアオートマタは感動しました。
      救いのない状況でこそ光る感動というか。感動というより、何か刺さったといった感じでしょうか。

      最近は、殺伐や絶望を強調して「すごいだろ?」的なゲーム、また映画やアニメが増えてきていますが、お腹いっぱい感があります。
      が、ニーアはそれを徹底し隙なくやってくるのである意味面白いです。こういった絶望に全振りしたジャンルがあってもいいのかと。

      ただ、このゲームは入り方でだいぶ印象がかわるんじゃなかと思います。
      私はニーアはそういうものだと身構えた上で今作をプレイしたのでこの感想になりましたが、全くなんの下知識も持たず初見で今作をプレイしたら、かなり後味の悪い作品なのかとも思います。

  4. 匿名 より:

    ご返答有り難う御座います。

    確かに、今の時代ネット社会とも情報社会とも言われる時代で下調べなく気軽に手を出せない物もあるのは確かかも知れないですね。
    それはそれで、どうかとも思えますが…
    オープンワールドで爽快アクションRPGゲームと言う売り文句に騙された感は多いですが…
    ただ、自分の中に在る一線を越えては為らない部分を越えていた作品でしたから、如何なる理由を付け様と、それを受け入れてしまえば、それが当たり前になる自分が怖い感じがします。
    大事な何かを犠牲にして、知らず知らずに外して行く精神の箍を、プレイして打ち直す自分に気付かさせられた作品だった様な気がしました。
    仕事柄、子供ネタ部分でも、例えゲームでも笑って見届けれる感覚に堕ちる自分を想像するのが恐ろしくなるのを感じました。
    最後の救いとも思えるエンディングすら、因縁の2人が寄り添いながら目覚めた時を想像すれば、一概なハッピーエンドとも思えない重い物を感じましたね。
    そしてまた、独り孤独に目覚める者(個人的には好きなキャラでしたが…)の姿が、因縁の2人の意思や心を知り目覚めた時に何を思うのか…
    しかし、ヨコオ・タロウと言う人物は、彼らの思いとは裏腹に、それらをまたユーザー共々破壊し尽くすんだろうな…とか。
    結局は、ハッピーエンドとは名ばかりな印象を持ったのも事実でした。
    彼らの話が次回作に繋がるとしたら、既に見えた結末を二度と観たくない。
    そしてまた、セーブデータを消されたくない。
    これを感動とは受け入れられない自分が居ました。

    まぁ、これはゲーム如きなんだけどねw

    と、エンディングの駆け引きをふと思い出し、そんな言葉では誤魔化せない痛みを残す作品だった気がします。
    あれは、ポットの名を借りたヨコオ・タロウの言葉でしたから、個人的には(次はないよ)と呟いてましたね。
    長文失礼しました。(_ _

    1. syumi より:

      返信ありがとうございます。

      「感動」という言葉を使ってしまいましたが、私もこのゲームをプレイして少なくとも幸せな気持ちにはなりませんでした。
      それでももがき動こうとする生き様に考えさせられたというか。感動というより感銘の方が正しかったかもしれません。
      私自身も、これは一線超えていると思う部分も多々あり、そんなゲームの先行きを楽しんでいる自分にも少々疑問はありました。

      ただ、こうやってプレイ後も色々と意見や感想が出てくる分、それだけ中身のあったゲームだったんじゃないかなとも思っています。

      セーブデータは毎回ひどいですよね。
      今作は前作以上にセーブデータの犠牲も話の一つに含まれていると思っていますが、それであってもやっぱりつらかったですw

      アンドロイドが心を持つ、その心とはなんなのかを描いた作品が最近おおいです。特にハリウッド映画など好んでよくつくってますよね。
      ただどれも似たような内容でまたこういうパターンかと思う事が多い感じです。
      このゲームは、それらと似ない切り口で描かれていましたので、これはこれでアリだったんじゃないかなとも思っています。

      +9+

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