グランツーリスモ攻略

レースゲームの世界を変えた『グランツーリスモ』の歴史前編、最初は売れなかった初代GT

1997年に発売された初代『グランツーリスモ』。
この作品の登場により、レースゲームの概念が大きく変わることになりました。

その後もタイトルを重ねる毎に、レースゲーム界はもちろんクルマ業界にも大きな影響を与えたグランツーリスモ。

新作『GTスポーツ』が発売される今、グランツーリスモがこれまでどんな歴史を歩んできたか、グランツーリスモがどんなゲームであったのか知りたい方もいるかと思います。

そこで車好きでレースゲーム好きで、グランツーリスモを初代からこよなく愛する私が、グランツーリスモが辿ってきた歴史を解説していきます。

※今回は、前編として初代グランツーリスモ1(初代GT)の登場時の状況や、与えたインパクトについてご紹介していきます。

1.グランツーリスモの歴史、初代GT登場の前夜

レースゲームは、グランツーリスモ登場前と後で事情が大きく異なります。それくらい初代GTがレースゲームの歴史に与えたインパクトは大きかったです。

初代グランツーリスモが発売されたのは、今から20年前の1997年12月24日。プレイステーション1向けのレースゲームとして発売されました。

これ以前はレースゲームの数自体も少なく、3Dレースゲームとなればさらに数は希少でした。

3Dレースゲームの元祖は、1988年にアーケードゲームとして登場したナムコの『ウイニングラン』。これ以前にも『ポールポジション』など疑似3Dレースゲームはありましたが、純粋な3Dレースゲームとしてはこのウイニングランが最も古い作品となります。↓

その後の大きな流れとしては、

・1992年にセガが『バーチャレーシング』をアーケード向けに稼働開始。
・1993年、ナムコが『リッジ―レーサー』がアーケード版として稼働し、1994年にはプレイステーション向けソフトとして発売。
・1995年にはセガ『セガラリーチャンピオンシップ』、海外ではあの『ニードフォースピード』シリーズの元祖にあたる『オーバードライビングDX』が発売。

といった感じです。日本ではリッジレーサー×セガラリーのコンビの人気が爆発し、3Dレースゲームを一気に普及させる形となりました。

1993年に稼働開始した初代『リッジレーサー』↓。
当時としては驚くほど美麗なグラフィックと爽快感で、大ヒットに。

1995年にアーケード稼働開始した『セガラリー』。シンプルながら特有のドリフトの爽快感があり、こちらも大ヒットに。体感ではリッジよりもセガラリーのが人気だった記憶です。

このように1990年代前半ごろから3Dレースゲームは徐々に注目されるようになりました。

とはいえこの時代に3Dレースゲームを作っていたのはほんの一部の人気メーカー。今と比べれば数は圧倒的に少なく、1年に数本リリースされれば御の字の時代。

またリッジレーサーやセガラリーも含めほぼ大半が、アーケード向けに作られたお手軽で爽快感重視のレースゲームです。

ゲームに”挙動”という言葉もナンセンスな時代であり、一般的な自動車レースにスポットを当てた作品も殆どありませんでした。グラフィックは徐々に進化してはいるものの、クルマやレースとしての”リアル”さはほぼ皆無だった時代です。

クルマを楽しむというよりは、猛スピードで走り抜けてストレス発散しよう的なスタイルのゲームが、レースゲームというモノでした。

 

 

2.1997年、リアルを追及した『グランツーリスモ1』の登場

そして1997年12月24日。

「クルマを愛するすべての人へ。」をキャッチフレーズを掲げ、プレイステーション1向けレースゲームとして発売された『グランツーリスモ1』。

初代GTでは、
・100車種146グレードの実在モデルを収録。自動車メーカー各社とライセンス契約も。
・物理エンジンを使った本物に近いリアルな挙動を重視。
・クルマ毎の特徴がはっきりとわかる、当時としては驚くほどリアルで細かいモデリング。
・サスペンションにはじまりCPU・フライホイール・ブレーキパッドなどマニアックなチューニングパーツを豊富に用意。さらに各部の細かなチューニングが可能。
・周回レースにスポットを当て、タイヤ消耗の概念も組み込む。当時としては稀な30周、60週もの耐久レースも用意。

いずれにおいても当時のレースゲームとしては類のない要素ばかりでした。

グランツーリスモはグラフィックも当初から美麗でありましたが、それ以上に市販車+カーライフの要素がこれまでにない全く新しいモノであり、革新的でありました。

この頃のレースゲームは、道行く市販車や大衆車の収録された作品がほぼ無い時代。
リッジレーサーのように架空のスポーツカーを使った作品や、セガラリーやオーバードライビングのような競技車や有名スーパーカーを収録した作品ぐらいしかない時代でした※。

そんな中グランツーリスモ1では、スポーツカーはもちろん、デミオやファミリアのようなコンパクトカー、マークⅡのようなセダンモデルなど、親しみのある街行く市販車を多数収録。

また当時のレースゲームは、区間毎に残りタイムが加算されレースを上位でクリアできるかを競うアーケード的なものがほとんど。

一方グランツーリスモ1は、草レースやワンメイクレースに出場しながら地道にお金を稼ぎ、チューニング・セッティングを詰め、時には洗車やオイル交換をして愛車をメンテナンスするカーライフ的な要素をいち早く導入したゲームでもあります。車種一つ一つに細かな解説文章も用意され「自動車図鑑」的な魅力も。

用意された流れに沿うのではなく、自分ならではの楽しみ方のできるレースゲームでもあったのです。

ゲーム好きに向けたゲームというよりは、クルマ好きに向けたゲームであり、この分野を最も初めに開拓した作品でありました。

それがグランツーリスモであり、のちにレースゲームの歴史を変えていくこととなります。

 

※ただし、元気『首都高バトルR』、エポック社『名車列伝 Greatest70’S』、MTO『オプションチューニングカーバトル』など、ハコ車やリアル系を重視したゲームそれ以前&同時期に数本存在します。グランツーリスモほどのインパクトは与えられたかったものの、先駆者的作品があることも忘れてはならない事実。

 

 

初代グラツーリスモは、攻略本も異質で、1台1台に実車の写真+歴史の解説が書かれており、攻略本というよりはまるで自動車図鑑のようで印象的でした。一日中眺めていた記憶↓。

 

 

3.しかし最初はあまり売れなかった、初代グランツーリスモ

※この章は私の体験談も混じります、実際の事情と多少異なってたら失礼します。

そんな革新的な初代GTでしたが、実は販売当初はそこまで話題にはなっていなかった記憶ですね。

発売当初は、ゲームコーナーの片隅に数本飾ってある扱いで、一部のマニア層がポツポツと買っていたような時期が続きました。特に子供には不評で、私は発売当時小学生でしたがこんなゲームで遊んでいる子供は殆どいなかったです。「お前なんでそんな地味なゲームやってるんだ、マリオカートやろうぜ」的な。

子供だったのでその上の年齢層がどう捉えていたか詳しくわかりませんが、SCEが作ったゲームとしてはそこまで話題になっていたかった印象です。(それでもゲーム全盛期ということもあり初週売上は67万本はあったようですが)

ゲーム雑誌などを見ても今のように大々的に取り上げられていることはなく、マニア向けの異色ゲーム扱いでした。

そんな陽の目の当たらない時期が続きましたが、発売からだいたい半年過ぎたあたりからでしょうか。水面下で徐々にこのゲームの魅力が評価されていき、ある時火が付き爆発した記憶です。半年過ぎた頃から品薄が始まり、ゲームショップでも品切れ状態が続いていました。中古でもお店にあればめっけもののような状態。

その後CMでは自動車メーカーとのコラボバージョンが放映され、自動車専門雑誌でも特集が組まれていたこともありました。一気にグランツーリスモの名が知れ渡っていき、小中学生の子供の間でも”グランツー”の単語が飛び交うようになっていましたね。

結果、じわじわと売れていき国内累計200万本を超える大ヒットレースゲームに。当時のレースゲームとしては極めて高い本数。

クルマに興味のない子供から、普段ゲームをしなかった大人までをも振り向かせ、レースゲームの新たな時代を幕開けさせた作品となりました。プレイステーションのゲーム機本体が広い世代に普及した要因の一つにもなっている作品かと。

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初代GTは、こんな感じで徐々に人気が伸び、最終的に大きなインパクトを与えた作品でした。ゲーム業界×クルマ業界を繋げる形にもなったかと。

 

4.グランツーリスモの誕生、プロデューサーの「山内一典」氏はそこまでクルマ好きではなかった?

グランツーリスモの生みの親でもあり、その後も全グランツーリスモシリーズのプロデューサーを務めている山内一典氏。いまでは世界中のGTファンや車好きから称えられる有名ゲームクリエイターです。

世界各国の自動車メーカーやレースドライバーとも交友をもち、自身もニュル24時間耐久などに参戦するほど。

このマニアックなグランツーリスモを作り上げた山内一典氏は相当のクルマ好き、ゲーム好きかと一見思えますが、実はそこまででもなかったようです。

BS日テレ『おぎやはぎ 愛車遍歴』にてゲストに登場した山内一典氏は、自身についてとグランツーリスモ誕生について、このように述べています。

・ゲームは小さい頃から好きで趣味でゲームプログラミングなどはやっていたが、本当は映画監督になりたかった。
・映画監督を目的として?ソニーミュージックエンタテイメントに入社したが、ゲーム分野に明るいということでデジタル部門に配属。そこでプレイステーションゲーム参入の話があがり「ゲームに作ってみないか」と言われた。
・クルマも小さい頃から好きではあったが、机上の知識だけ溜め込んでいた状態。
・普通免許を取得したのは24歳。
・24歳~グランツーリスモ発売される31歳までは、トヨタカローラ→スズキアルト→トヨタセリカXX→日産スカイラインGT-R(R32)→三菱FTOの5台ほどを経験。
・初めて自分で買ったクルマは25歳の時のスカイラインGT-R。ここで実車でのスポーツドライブを色々と体験した。

このような経緯を語っています。
ゲームやクルマに関心がなかったわけではないものの、「グランツーリスモのようなゲームを作ってやる!」とはじめから大志を抱いていた訳ではなかった模様。

しかし作り上げられたのは、ゲーム好きからもクルマ好きからも納得のいく完成度の高いモノ。これが驚きですね。

この辺りの詳しい話は、↓の動画にいて

5.その後のレースゲームの流れを変えた、初代グランツーリスモ

初代グランツーリスモの登場により、実在の市販車収録・セッティング・カーライフ・リアル挙動 等の要素を重視したレースゲームが続々と登場してきます。

1998年にはリアル系のラリーゲーム『コリン・マクレーラリー』の初代が発売。
1999年には、スクエニも市販車×チューニング×RPGを混ぜた『レーシングラグーン』という黒歴史レースゲームを作る始末。

PS2時代になると『首都高バトル』シリーズは、トヨタヴィッツや日産セドリックなど道行く市販車までをも収録するスタイルに変更。コナミは、グランツーリスモ以上とも呼ばれる挙動+トヨタエスティマなどの際物車種まで収録した『エンスージア』という作品を制作。

その後、マイクロソフト『Forza Motorsport』シリーズなど、グランツーリスモとほぼ同じコンセプトのライバルゲームも登場していきます。

これらの作品がどこまでグランツーリスモに挑発されたかは定かではないものの、多かれ少なかれ影響を受けているのは間違いないかと。

架空車種で猛スピードのアーケードレースを楽しむ『リッジレーサー』シリーズなどはその後も生き残っていますが、それとは別に実在モデルでリアルなレースを楽しむラインがグランツーリスモの登場により確立されていきます。

スクエニが1999年に発売した『レーシングラグーン』↓。パジェロやバスなども登場し、エンジンや車体などを組み替えられるというぶっ飛んだゲーム。UIのデザインなどからもグランツーリスモを意識している様子が伺えます。

グランツーリスモ以上の挙動と話題になった、コナミPS2レースゲーム『エンスージア』。↓

 

6.初代グランツーリスモはなぜヒットしたのか?

最後に、なぜ初代グランツーリスモはヒットしたのかについて。

あくまで個人的な考察ではありますが、これは水面下にあった需要に応えられたからであるかと。

初代グランツーリスモが発売された1997年には、すでにクルマ離れの前兆はありました。

しかしそれは世間がクルマを嫌いになったと言うより、バブルが終わり不景気も続いたことで、多額の費用が掛かるクルマに興味を持つことが許されなかった事が大きいかと思います。ドラマやCMなどでもクルマの露出が減っていき、クルマ文化が離されていったのもだいたいこの頃からだったかと。

でも、実際多くの方は「普段使うクルマのことをもっと知りたい」、「クルマでどんな事ができるのか知りたい」、そんな知的好奇心の様なモノが水面下にあったのではないでしょうか。

また、元々のクルマ好きの方であっても「バブルが弾け、現実ではチューニングやレースなどお金の掛かるカーライフができない」、そんな欲求不満な感情も抱えていたかと思います。

そんな水面下で膨らんだクルマに対する欲求や需要を満たしてくれたのが、グランツーリスモであったのではないかと。

それが初代グランツーリスモがヒットした最大の理由ではないかと考えます。

現に私も、お金がどうこう以前に当時子供で免許が無かったため、クルマへの欲求をどう満たせばいいかわかりませんでした。それを実現させてくれたのがグランツーリスモというゲームでした。

まとめ

以上、初代グランツーリスモの歴史についてでした。

グランツーリスモをきっかけに「クルマがもっと好きになった」、「クルマを買うキッカケになった」といった方も多いのではないでしょうか。

グランツーリスモは、レースゲームの歴史に影響を与えただけでなく、人とクルマを繋げることにも大きな貢献を残したかと思います。

今後も初代グランツーリスモは、レースゲームの歴史に名を残す作品として語り継がれていくでしょう。

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