地球滅亡だの、人類の危機だの、そういうスケールの壮大な映画はキライではない。ただ、もうネタは出尽くされていて、お腹一杯。これまで映画の世界では、何度も地球はやばくなり崩壊しかけ、救われてきた。いろんな地球の死にざまを見てみた。だからローランドエメリッヒ監督の作品も、『2012』あたりでなにかうーんを感じていた。つまらなくはないのだけど、うーんな感じ。
そして今回の『ムーンフォール』。またしても地球滅亡系のパニック映画。Amazonプライムビデオの評価も☆3というまたビミョーな数値。期待しろというほうがむずかしく、もう何も期待せず、虚無の心で遠い目でみた。
そしたら、なんだろう、意外に面白い。
さて、前置きが長くなりましたが、映画『ムーンフォール』の感想評価レビューを独断と偏見で書いていきます。
※作品タイトルからある程度わかるかとおもいますが、軽くネタバレは含みます。
もうこういうのでいいよ
ローランドエメリッヒという監督は、とてもわかりやすい監督。よくもわるくも方向性がはっきりしている。この監督を3つの言葉であらわすなら、「スケールがでかい」、「地球やばくなる」、「ご都合展開」。
ここが固まってるから、一定の水準の面白さはあり、大きな外れってのはあまりない。
思い返せば、はじめて洋画を映画館でみたのは、ローランドエメリッヒ監督の『インデペンデンスデイ』だった。当時まだ子供だったけれど、子供ながらにみても単純に面白かった。スケールがでかいだけでなく、わかりやすい。少年ジャンプ系のノリというか笑。いまになって改めておもうけれど、娯楽映画ってのはこういうのでいいんじゃないかと。
地球が滅亡の危機に瀕するってのは映画館に入る前からわかってる。気になるのはその展開。どんだけヤバい状況でハラハラドキドキさせられ、「さあどうする」ってのがこういうパニック系映画の見どころだと思う。この監督はその見せ方が上手い。子供の心をもってるんだと思う。かなりご都合展開も多いのだけど、そこは目をつむってあえてエンターテインメントにこだわっているというか。辺に高尚な感じにせず、アカデミー賞なんて知らねえよといわんばかりに、娯楽に全振りしている。映画通な人たちからはたぶん嫌われてる監督だろうけど、自分はキライじゃない。
政府上層部や敵の本陣と対峙しているような、中核にいる人たちのシーンだけでなく、実際に崩壊が起きている地上での一般市民目線のシーンとかの撮り方もこの監督は上手いと思う。ゴジラシリーズとかもそうだけど、パニック映画はそこも大事なんだよね。
ただ、問題はこの手の地球滅亡パニック映画は、すでにネタが出尽くしていること。
『インデペンデンスデイ』にはじまり、『ディープインパクト』、『アルマゲドン』と流れができ、その後も火山だの、地震だの、隕石だの、異常気象だの、はたまた巨大イグアナ、怪獣、宇宙人侵略、AIの暴走、未来からの攻撃などなど、あらゆるパターンで地球は襲われた。
もう映画の世界では何度も地球は滅亡しており、みんな目が肥えている(笑)。あらゆる地球の攻撃方法、滅び方を見てきたわけだし、おまけにもうCGやVFXなんかは2010年頃には完熟してしまって、映像で驚かすこともできない。
だからローランドエメリッヒ監督の作品も、『2012』や『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』みたな近頃の作品は、かつてほど面白さは感じなかった。まあこれはこの監督だけに限らず、このジャンルがって話なのだけれど。
ただ、今回の『ムーンフォール』は、なぜか面白かった。どこが面白かたっかって聞かれれば、うまく言葉にするのがむずかしいのだけれど、なんというか、これまで以上に吹っ切れているというか。
だって滅びた超文明が月つくって、月の内部が人口建造物で、月が落ちてくるなんて、もう子供の時に考える空想の設定じゃないですか(笑)。ワクワクしないわけがないというか。それを大真面目にバカに振り切って本気で描いてるのが、もうあっぱれというか。
しかも、わりとひどいレベルの冴えない人たちがヒーローとなり世界を救う、敵だと思ってた月が実は味方だった、地球側ではボーイ・ミーツ・ガールみたな展開もいれ、王道的にテンポよく進めてくれるから終盤までワクワクが続き、漫画みたいな面白さがあった。無駄に長くせず2時間足らずでまとめてるのもイイ。
そりゃ心理描写がめちゃくちゃなところもあるし、訓練もしてない一般人が即スペースシャトルにのったり、超文明のエイリアンがEMPで倒せたり、ツッコミどころも満載なんだけど、そういうのはもういいんじゃないかと(笑)。
結局、なんだろう、リアリティとか考えると駄作なんだろうけど、この映画は元がありえない話なわけで。月の内部が人口的に作られたみたいな話の時点でもう斜め上にいっているわけで。そうなったら、もうその設定をつかってどれだけ白熱展開にできるかが見どころになってくるんじゃないかと。そういう意味では、今回はおバカに振り切って、とにかく面白く描こうとするのが見え見えだったので面白かった。この監督のよい部分がよい意味でにじみ出てるような。
これを下手にリアリティだの小難しい人間ドラマいれて「評価されたい」みたにするのが最悪なパターンだけれど、今回はそういうのも微塵も感じなくて。
まあ何がいいたいかわからなくなってきましたが、パニック映画や娯楽映画はこれでいいんじゃないかとおうお手本みたいな作品に感じた。
パニック映画って、2時間みて、あー現実逃避できたってスッキリした気分でエンドロールがみれればそれでいい。最近はパニック映画でも中途半端に投げたり、特に意味もないのに意味深におわらせて、評価されたいみたいな作品がめっちゃ多いのだけど、そういうのはほんと見終わってイライラする。
それよりも、王道でも、ご都合展開でもいいから、2時間の中で、起承転結があって、ハラハラドキドキさせらて、スッキリまとめてくれればそれでいい。こういうジャンルは娯楽としてみてるので。そんなひさしぶりに娯楽、エンターテインメントとして楽しめる映画だった。
以上、映画『ムーンフォール』の感想評価レビューでした!
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