記事公開日:2017年6月7日
最終更新日:2018年4月4日

VALU

批判:「VALU」サービスのユーザーが余りに酷いので書いておく

株式のように個人の価値を売買できる「VALU」サービス。

投資は投資される側とする側の信頼関係により成り立つ。
VALUサービスは”投資”ではないと逃げているが、将来を支援する以上、広く言えば投資なはずだ。

その上で、現状のユーザー(発行主)が余りに酷い状況なので書いておく。

長く投資活動をしてきた身として、これは本当に伝えたい。
金融でやっぱりこんなの通用してはダメだと思う。法律上はギリOKなのだとしても。

 

 

いくら稼いだ?が蔓延し、買い手を考えないVALUユーザー

現在、ブロガーや実業家など様々な方がVALUサービスを利用し、資金調達を行っている。

それはいいのだが、彼らはツイッターなどで、

「VALUでいくら稼いだ、いくら儲けた」
「2日で100万円も手に入れました」
「みんなこの機会にVALUに登録して稼ぎましょう」
などなど物凄いレベルの発言をしている。(もちろん全員ではない)

さて、彼らのやっている事は株式会社の増資と変わりない。
彼らが自分のVALU1枚を売り儲けを出す毎に、市場にVALUが1枚ずつ増えていく。毎回のように増資が行われているような状況だ。

「増資」というのは、基本的に買い手側にとっては不利になる。

例えば、発行主が最初の1枚だけVALUを市場に流し資金調達をしたとする。その1枚を買った人はいわば「プラチナチケット」で、その後発行主の人気が上がれば、売り手は数多だ。購入時より高い値段で売れるので、買い手にとってもプラスになる。
しかし発行主が2枚、3枚と続々とVALUを市場に流しお金を得る事で、それはオンリーワンのプラチナチケットではなくなり、希薄化し価値が相対的に下がっていく。

つまり発行主がVALUを売り儲かるほど、買い手側にとっては不利になっていく訳だ。

本来であれば、そんな買い手サイドの立場を考えれば「儲かった」、「どんどん稼ごう」などといった言葉は出てくるものではない。出してはいけないのだ。買い手サイドをバカにしているとしか思えない。

投資素人とかそういうレベルではないと思う。ネットの向こうに支援する買い手がいる事を考えれば、出てこない言葉だ。

さて、ツイッターなどを観ていると、まだVALUシステムを十分理解していないユーザーの方も多そうに感じる。

VALUのシステムは、発行主側には全く負担がない、ただ単にお金を無リスクで得られる少し異常なシステムとなっている。
発行主は例えば100枚のVALUを発行したら、その100枚を好きなように売りつけられる。売却して得たお金はそのままその人の収入となる。VALU1枚を10万円で売れば、VALU主は10万円手に入る。×100なら総額1000万円だ。

株式でいう「新株」に当たるのだが、株式であればそれで得たお金を株主のために使い、株価上昇や配当といった形で利益を還元していく必要がある。それが株式会社の”義務”である。

しかし、VALUの場合、発行主は何も背負うものはない。1000万円得たら1000万円を自分のポケットマネーにでき、自由に使える。
「それおかしいでしょ?」と思うところだが、それが出来てしまうのである。そういうルールだ。そこを覚えておいて欲しい。縛るものはなく、お金をどう使っても問題ない。夢や本来の目的以外に使ってもまったく問題ないのだ。

さらに前述したとおり、発行主が市場でVALUを売りさばくことで、希薄化により買い手側はリスクを追う事になる。

その上で、発行主は「儲かった」、「稼ごう」などの言葉を吐いているのだ。

これがどんなにおかしい事かわかってほしい。

 

「資金調達」は計画的に行うもの、問答無用にやっていいものではない

株式会社が増資をし、資金調達する場合、

・なぜ資金が必要なのか、それを何に使うのか
・増資によって何が成せるのか、買い手側にプラスがあるのか
・具体的にいくら資金が必要か
・何株を新株として市場で売るのか
・増資の期間はいついつか
・希薄化に対してどう対応するか

などを入念に定めた上で「IR情報」として公開し、その上で増資を行う。
これは増資によってお金を頂く事になるわけだし、希薄化で株主に迷惑をかける事にもなるため、その理由を説明する必要があるからだ。

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当たり前である。投資家は、投資した会社の将来や、投資家自身の利益を期待して株を購入してくれている。それに対して単に「お金が欲しいから増資しました」では話にならない。誰だってお金は欲しいしある事に越したことはない。
お金をボランティアで貰っている訳ではないので、株式会社はその具体的な使い道や株主側のプラスを考慮した理由を述べなければならない。

ではVALUの発行主はどうかと言えばこうだ。(全員ではないが)
・理由も述べずに、問答無用に自分のVALUを売り資金調達
・売るタイミングも期間も定めず、好き勝手に売る
・売れたら「〇〇円儲かりました!」とツイッターで自慢
・しまいには得た資金で、他人のVALUを買いマネーゲームを始める輩もいる

これは正直話にならないと思う。株でやったら即上場廃止だろう。

それにVALUサービスの場合、買い手はその人の将来に期待してお金を支援している訳だ。株式以上に。それがVALUサービスの根本理念なハズ。

にも拘らず、何の目的かもわからず資金調達をし、価格を希薄化させユーザーのリスクを増やし、当人は儲けた・稼いだと喜んでいる。

これでは単にお金をあげるだけのボランティア作業である。

VALUサービスは集金サービスではなく、将来を得るためのサービスなはずだ。

 

具体的にこう言った目的がある。そのために具体的にいくら資金が必要だ。と明確に述べられる人、そんな強い目的意識と将来がある人を支援するサービスでなくてはならないハズ。

今のVALUは目的や夢関係なしに、お金が欲しい人がお金を貰える、はっきり言えば都合の良い乞食システムだ。VALUを2次売買できるおまけがあるだけで。

VALUサービスも増資(資金調達)のルールを決めるべき

VALUサービスにおいても株式市場と同様に、

・なぜ資金調達が必要なのか?
・それで何するのか?
・いついつのタイミングでいくら分の増資をするのか?

などを記録に残る計画書として作成・アップロードした上で、VALUを市場で捌けるようなシステムにするべきだと思う。

 

そうしないとたぶん、無法地帯となる。

最低でも、「資金調達のお知らせ」と題して、「私〇〇はVALUサービスを通じて、〇〇日~〇〇日に計〇〇万円の資金を〇〇目的で調達しました。これで〇〇を行っていきます」くらい通達して貰わないと納得できない。

なんの縛りもなく資金調達が出来てしまっている現状は、ただのマネーゲームだ。将来の支援とか、夢の実現がどうだとか言ってる場合じゃないかと。

お金を渡してるだけだ。

まとめ

あまり批判記事というのは書きたくないのだが、この手の記事が上がっていないし、金融サービスでこんなことが平然と行われている事にムカっときたので書いた。

私よりもっと知識が豊富で、良い文章が書ける方がいると思うので、ぜひ他の方にも投げ掛けて貰いたい。

追記:7/24

本日7/24日に『ニコニコ生放送』にて、VALUリードエンジニアに就任した「小飼弾」さんが、この辺の話に言及してました。

VALUは夢や目標を明確化して厳しく縛るのではなく、ユーザーそれぞれが自由に価値を見出し売買して欲しいとのこと。

たとえば発行主が寝て過ごしていても、優待を出さずに自由に過ごしていてもそこは問題ないと。それをどう評価するのはユーザー側次第。

的な事をおっしゃっていました。(理解が間違っていたら失礼します。)

 

関連

この記事は『NEWSPICKS』に掲載されたようで、そちらで色々コメントが付いています。ご参考まで↓

NEWSPICKS 批判:「VALU」サービスのユーザーが余りに酷いので書いておく

 

関連:
↓こちらでは、VALUの仕組み上の問題を具体的に列挙しました。

個人に投資する「VALU」サービス、仕組みとリスク・危険性・問題点

↓私はVALUの将来を応援する理念には賛同します。頑張っている方は応援したいです。
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