※本編のネタバレを含みます。
細田守監督の長編アニメ映画第二弾『おおかみこどもの雨と雪』。 評価が高いのは知っていましたが、なかなか手の出しずらかった本作。 もう何年遅れかわからないですが、今更ながら観ました。素晴らしい作品だったので感想・評価・レビューを書いていきます。
『おおかみこどもの雨と雪』 作品概要
タイトル: おおかみこどもの雨と雪
監督:細田守
脚本: 奥寺佐渡子、細田守
声の出演:
宮崎あおい
大沢たかお
黒木華
西井幸人
制作: スタジオ地図
配給:東宝
公開年:2012年
あらすじ:
女子大学生の「花」は、大学の教室である”彼”に出会う。
不思議な魅力の漂う彼に惹かれ、恋に落ちる花。
彼は自分が二ホンオオカミと人間の間にできた「おおかみおとこ」の末裔だと告げる。
花はそれを承知で彼との間に2人の子供「雪」と「雨」を生む。
幸せな日々が続くと思った矢先、彼は消える。
女で一つで2人の子供を育てることに。
『おおかみこどもの雨と雪』 感想・評価・レビュー
『おおかみこどもの雨と雪』、この映画が評価が高いのは以前から知っていました。それに細田守監督の『サマーウォーズ』も好きですし、いつか見よういつか見ようとは思っていましたが、そうやって放置してはや7年。
なぜ手か伸びなかったというと、「親子愛」がテーマだと作品情報に書かれていたので。この手のいかにも感動してください的なジャンルは個人的にあんまり好きでは無くて。初めから感動するつもりで観なくちゃダメじゃないですか。あと、「オオカミ」。オオカミと人間の間にできた子供うんたらかんたらのあらすじを見て、ちょっとウッとなってしました。だってそれはもうファンタジーじゃないですか。親子愛を描いているのにファンタジー?それって中途半端じゃない?それならファンタジー抜きの真面目な親子愛映画見た方がよくない?そんな感じで、どういう心構えで観ればいいのか全くわからなかったんです。だからなかなか手が伸びたかった本作。
前置きが長くなりましたが、本題の感想に。
感動しました。(語彙力)
この映画は少々説明がしにくいのですが、ひと言でいうと”隙”を狙った感動のようなものを感じました。ミスリードさせて隙を狙うような。
本作は序盤から結構ヘビーな話なんです。主人公の女性「花」とオオカミの「彼」との幸せな生活はものの一瞬。速攻で彼がお亡くなりになり(ゴミ収集車行きとかなかなかにショッキングなことぶっこんできますし)、残されたのは花と「雪」と「雨」の2人の子供たち。しかも2人の子供たちはオオカミとのハイブリッド。おまけに冒頭からまるで花が死んだかのごとく、娘の雪の回想ナレーションで話が進んでますし。
もうこれは、絶望の未来しかみえないじゃないですか。
花がこんな孤独で奇怪な状況に耐えられず自殺しちゃうんじゃなの?花ちゃんか弱そうだし?子供たちはいずれ世間にバレて見世物にされるんじゃないの?どう考えてもこのあと暗い展開が待ってるよね?と思ってしまうのです。私、重い話で泣かせにくる映画は好きでなくて、正直ババ引いたかなと思っていました。
田舎に移住した後も、これどっかで歯車が狂うんだよね?だってオオカミだってバレずに成長するのは無理じゃん?小学校の検診とかでバレちゃうんじゃ?バレなくても子供たちが思春期にでも入れば絶対暗い話になってくるよね?娘の雪は元気一杯だけど、これ女の子としていつか絶対悩むじゃん?息子の雨はちょっと危なそうな性格っぽいし、どっかで暗黒面に落ちるよね?ともうヒヤヒヤしながら観ていました。ひと時の幸せな場面が、もうこの後くる絶望を予感させるかのように。
雪がオオカミの姿になり転校生の草ちゃんをひっかいた事件を起こした時に、ああついに暗い話に入ってしまうのか・・と身構えましたね。
けれど、蓋をあければなんですかアレは。すべてが報われたかのように、この上ない綺麗な結末に。
こういうことをされると、感動してしまうもんなのです。隙をつかれホッとした感動というのでしょうか。よかったよかった的な。それが正しい感動なのかよくわかりませんが、感動した映画であることには違いありません。『おおかみこどもの雨と雪』は、そういうミスリードみたいなものからくる感動に包まれた映画でした。
ラストが意外とサッパリしていましたが、この映画の場合はそれでいいような気がします。雪は中学に上がり、高校生大学生となりオオカミについて悩むのでしょうか?雨は山で一人で生きていくことなんてできるのでしょうか?それも余計な心配であり、この3人はどんなことがあってもハッピーエンドに繋がっていくのでしょう。
まとめ
この映画は、母親の強さ、大人への成長の過程、人生の選択肢など、ほかにも色々なテーマがあるようにも感じますが、今回は率直な感想として書かせて頂きました。
最後までどうなっちゃうのどうなっちゃのと惹き込まれ、綺麗に感動させてくるいい映画だったなと。
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