記事公開日:2017年11月25日
最終更新日:2020年5月3日

アニメ

泣ける・怖い・シリアス、大人向け「ドラえもん映画」のおすすめ作品厳選6本

『ドラえもん』は子供向けのアニメ。しかし、劇場版の映画『ドラえもん』シリーズは少し違う。

この記事に辿り付いた方はもうご存知かもしれないが、映画版『ドラえもん』は、下手な洋画・邦画に負けないほどドラマチックな展開が描かれていることがある。一周回って物凄い感動を味わえることもある。

本記事では、そんな泣ける・怖い・シリアス等の要素も交えた、大人向けのドラえもん映画の中からおすすめ作品をいくつかピックアップしていく。

※映画本編のネタバレは含みません。作品全体の作風や雰囲気に関する内容は含みます。

 

泣ける・怖い・シリアスの要素もある、映画『ドラえもん』シリーズとは


出典:http://モンストイベントキャラ図鑑.jp/event/3959

まず簡単に「映画ドラえもん」シリーズについて簡単に解説。

「映画ドラえもん」とは、ドラえもんを題材にした劇場公開用の長編アニメシリーズ。第一作『ドラえもん のび太の恐竜(1980年公開)』から始まり、現在もシリーズは継続中。最新作となる『ドラえもん のび太の宝島(2018年公開)』は、通算第38作目にあたる。

のび太のわがままでドラえもんに道具をねだる流れはTV版と変わらないが、劇場版ではそこから巻き起こるドラマが用意されている。

環境問題・人権問題・ヒューマニズムなど子供向けアニメとは思えない深いテーマを扱っていることもある。かつ、物事の本質的な部分を突いていることもあるため、大人が観ても納得できる作品が多い。TV版とは違い、泣ける場面や怖い場面、シリアスな場面が用意されることも。

また、劇場版には毎回テーマソングが用意されているが、こちらもアニメ映画らしかなぬメッセージを含んだ名曲揃い。

それがドラえもん映画が持つ魅力。

大人向けのドラえもん映画、おすすめ作品

さて、本題。
大人が観ても面白いドラえもん映画を、独断と偏見で厳選し6本ピックアップする。

 

1.ドラえもん のび太の創世日記

1995年公開、映画シリーズ第16作目『ドラえもん のび太の創世日記』。
意外なことに評価は低いが、地球誕生や生物進化などなかなかに濃いテーマを扱っており、見応え十分な作品。

あらすじ
夏休みの自由研究が決まらずドラえもんに泣きつくのび太。「創世セット」で神様になり地球を作る研究をすることに。順調に地球を創り上げるのび太であったが「もっと早く陸上生物が観たい」と言い出し、仕方なくドラえもんの「進化退化放射線」で海中生物の進化を促すことに。そこに一匹の虫が混じってしまう。

見どころ
地球誕生や人類史を追えるだけでなく、人間の弱さやエゴの部分をドラえもんならではの観点で描かれているのが面白い。「もしこんなことが起こったら?」がドラえもん映画の一つの魅力でもあるが、その部分を地球誕生46億年の歴史を交え壮大に描いているのも見どころ。

矛盾やご都合展開も多いが、ちょっとした歴史映画を観ているより面白い時間が過ごせる。特に終盤の纏め上げの展開は、大人が観た方が満足するのでは。

ひとこと
歴史や、歴史のifに関心がある人に特におすすめ

 

 

2.ドラえもん のび太の魔界大冒険

1984年公開、映画シリーズ第5作目『ドラえもん のび太の魔界大冒険』。
”怖いドラえもん映画”として度々話題に上がる作品。

あらすじ
「魔法が使えたらな」と妄想にふけるのび太。ドラえもんに泣きつき「もしもボックス」で、”もしも魔法が使える世界”を造ってしまう。魔法が使える社会では学校で魔法の授業が行われるが、のび太は結局落ちこぼれのまま。
そんな中、地球に「魔界」が接近中であることが浮き彫りになる。

見どころ
怖いドラえもん映画と言われる通り、本作は、全編を通して不気味な雰囲気が漂う作品で、子供が観るとトラウマになるようなシーンも多い。ただ大人が観る分にはさほど怖いものでもない。

本作の魅力は、怖さではなく「タイムパラドックス」や「パラレルワールド」の描き方の部分。SF映画ではよく用いられるこの題材を、ドラえもんならではの切り口で、興味深く描き、かつ皮肉ってもいる。「タイムパラドックス上これでいいの?」、「パラレルワールド上にこれでいいの?」的な。下手なSF映画より考えさせられるものがある。ストーリーの構成としても見事。

ひとこと
SF映画、タイムパラドックスやパラレルワールドに興味がある人に特におすすめ

 

 

3.ドラえもん のび太と雲の王国

1992年公開、映画シリーズ第13作目『ドラえもん のび太と雲の王国』。
ドラえもん映画の中でも、描かれるテーマに対しての評価が特に高い作品。

あらすじ
「雲の上に天国はない」と馬鹿にされたのび太が、ドラえもんの手を借り雲の上に王国を造ることに。王国造りを楽しむドラえもん一行と、天上世界に住む天上人との騒動を描く。

見どころ
「環境問題」や「人権問題」などかなり重いテーマを扱っており
ドラえもん映画としてはやや押し付けがましい演出も多い。ただしその分ドラマ性は強く、終盤は色々と考えさせられる映画。TV版の「キー坊」の話を知っている方は、より感動を味わえるかと。

序盤と終盤でかなりジャンルの異なった映画になるため、子供が観ると「ぽーかん」になるかもしれない。逆に大人の方がどっぷりハマれる展開かと。

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ひとこと
環境問題に興味がある方感動を味わいたい方に特におすすめ

 

 

 

4.ドラえもん  のび太と夢幻三剣士

1994年公開、映画シリーズ第15作目『ドラえもん  のび太と夢幻三剣士』。ドラえもん映画化15周年記念作品。
ドラえもん映画シリーズの中でも随一の異色作であり、カルト的な人気もある作品。

あらすじ
「世知辛い現実は嫌だ、できれば夢の中くらいは楽しみたい」と願うのび太。ドラえもんに泣きつき「気ままに夢見る機」で自分の好きな夢を見ることに。新製品の夢カセット「夢幻三剣士」で剣士になり王女を救う夢を選ぶが、このカセットが少々厄介なものであった。

見どころ
この作品は大筋よりも考察が面白い作品。本作も現実世界/夢世界のパラレルワールドのような概念があり、2重3重構造な設定になっている。また観終わっても消化不良の謎が多く、得体のしれない違和感に襲われる。
狙ったものなのか、設定の甘さなのかはわからないが、もしもそれが狙ったものであればかなりに巧妙に作り込まれたストーリーであるかと。
ミステリーや謎解きや考察など好きな人には、大人でも十分楽しめる内容かと。

ひとこと
謎や違和感が好きな人、考察が好きな人に特におすすめ

 

 

5.ドラえもん  のび太の日本誕生

1989年公開、映画シリーズ第10作目『ドラえもん  のび太の日本誕生 』。ドラえもん映画化10周年記念作品。
幅広い層から安定した人気をもつ名作で、悪評がほぼ無い良作。

あらすじ
嫌なことばかりの日常から抜け出すべく家出を計画するが、いつものごとく上手くいかないのび太。ドラえもんに泣きつき、結局「タイムマシン」で7万年前の日本に家出することに。原始生活を満喫するのび太たちであったが、謎の奇術を用いる「精霊王ギガゾンビ」の魔の手が迫る。

見どころ
歴史・SF・ミステリー・冒険・感動などが全部入りしたエンターテイメントな作品。”歴史への介入”がドラえもんならではの切り口で描かれているのが面白く、大人が観ても満足できる内容かと。エンディングテーマの「時の旅人」も含め、歴史や時間の流れについて問いかける名作。

2016年に新声優陣で『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』としてリメイクもされている。ややくどい感じにもなったが、ストーリーの抜けが補填されドラマ性が増した良リメイク。感動要素はリメイク版の方が強い。新声優陣に抵抗なければ。

ひとこと
素直に、興奮や感動が味わえる名作。

 

 

 

6.ドラえもん のび太と鉄人兵団

1986年公開、映画シリーズ第7作目『ドラえもん のび太と鉄人兵団』。
ドラえもん至上最高の感動傑作と名高い作品。ドラえもんマニアからも絶賛され、Amazonレビューなどでも、特に大人から絶大的な人気を誇る作品。

あらすじ
スネ夫に最新のホビーロボットを見せ付けられ悔しがるのび太。「巨大ロボットが欲しい!」とドラえもんに泣きつくも断られる。その時、野比家の庭に巨大ロボットのパーツが。ドラえもんも心当たりの無いパーツだったが、二人は組み立て巨大ロボットを完成させる。
巨大ロボットを楽しむのび太であったが、謎の少女リルルの登場により歯車が狂いだす。

見どころ
パッケージ絵を観ると、いかにもなロボットで子供向けの映画に見えるが、完全に裏切られる作品。いい意味で。

感動傑作と言われているが本当にそうか?と疑いながら観たけれど、素直に感動させられた作品。おそらく子供より大人の方が意味が分かり感動が増すかと思う。本作は私自身も大人になってから観たが本気で涙が出そうになった。下手な感動ドラマよりも感動する。

また、ヒューマニズムや、人間×ロボット(アンドロイド)への問いかけの様なモノが描かれているのも感傷深い。Amazonレビューにもあったが子供に本で道徳教育するよりもこの作品を観せてあげた方がずっと価値あるかと思う。序盤はパッケージ通り子供向けな展開が続くが、終盤の完成度はすごいの一言。

ひとこと
ドラえもんで唯一、本気で涙しそうになった作品。

 

 

まとめ

以上、大人向けのドラえもん映画についてでした。

劇場版のドラえもん映画は、単に子供たちを楽しませるだけでなく、ドラえもんという題材を使い「何かを描きたい」、「訴えかけたい」といった制作側の意図が感じられます。そしてそれが、下手な実写映画よりも響いてくるものがあります。

”ドラえもん”という色眼鏡抜きに観てみると、意外と楽しめ、新しい発見もあるかもしれません。

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