※映画『シン・ゴジラ』のネタバレ含みます。
予想外の大ヒットとなった『シン・ゴジラ』。
初週、第2週の動員数は夏映画第一位、ゴジラシリーズの累計動員数1億人突破もこのシンゴジラで見事達成しました。
さて、何故このシンゴジラはここまでヒットしているのか、なぜ評価されるのか、これまでのゴジラとは何が違うのか。
シンゴジラについては今回様々な考察を書いてきましたが、総括という意味も含めて、本記事で今回シンゴジラがヒットした理由をまとめていきたいと思います。
なお、マニア層に限らず、初めてゴジラを観た人にまでなぜ幅広くヒットしたのかという商業的観点で考察していきます。
『シン・ゴジラ』ヒットの流れ、何故シンゴジラは評価されたのか
まず、今回シンゴジラがヒットしていった流れを簡単に解説します。大まかには以下の様な流れと言われています。
【シン・ゴジラのヒットまでの流れ】
①製作決定~予告編公開まで
旧来からのゴジラファンを中心に話題に。
↓
②豪華出演陣が決定
出演俳優のファンや邦画ファンにも、注目が広がる。
↓
③予告編トレーラー公開
コアなゴジラファンが少々期待を裏切られる。ネット上では叩きが始まる。
↓
④公開から2~3日間
ゴジラファンや庵野監督ファンは詰め掛けるが、一部の間での限定的なスマッシュヒット。
↓
⑤公開から4日~1週間
中身が想像以上の仕上がりとなっており高評価。それがSNSによって拡散される。見に行こうか迷っていた層などを巻き込み大ヒットに。コアなファンはリピーターも出始める。
↓
⑥公開から1週間
引き続き高評価がねずみ講の様に(言い方わるいですが)SNSで拡散。テレビやネットでもヒットが取り上げられ、ついにはシンゴジラに興味がなかった層にまで巻き込む弩級の大ヒットに。
推測も混じりますが、おおむねこういった流れだったかと思います。一度予告編で落胆させられたけれど、中身で勝負し、SNSで大爆発。まさにネット社会を表すようなヒットの流れです。
さて、シンゴジラがここまでヒットしている理由を、以降でより細かく解説していきます。
1.ゴジラ映画であった
シンゴジラのヒットの理由として、まず第一に言えるのが正真正銘のゴジラ映画であったこと。
当初こそ「こんなに多くの俳優を出してほんとにゴジラを作る気あるのか」、「庵野監督だから独自のゴジラになってしまうのではないか」と色々不安が挙げられていましたが、蓋を開けてみれば正真正銘のゴジラ映画でした。
たしかに庵野監督の個性は強いものの、日本のゴジラならではの重々しさや生々しさ、無敵っぷり、エンターテイメント性が溢れており、核・放射能×人間×ゴジラという初代ゴジラが掲げていた本来のテーマも踏襲。さらには、ゴジラのテーマや自衛隊のテーマなどお馴染みの伊福部BGMもしっかりと利用。
新しい挑戦的な試みも多々ありましたが、本来のゴジラ映画としての魅力も十分再現されていたかと思います。
海外ゴジラ(『GODZILLA1998』、『GODZILLA2014』)のように違った方向に進まず、日本のゴジラ映画として正統進化しており、古くからのゴジラファンを落胆させなかったのがヒット理由のひとつだと考えます。
単純なことかもしれませんが、この部分はゴジラという映画にとって大きな意味があります。
※ゴジラ映画ではなかった部分
一点だけ、ゴジラ映画としてここは駄目だなと思う所があり↓の記事でまとめています。
批判意見になりますが、ご理解頂ける方はぜひご観覧下さい。
批判感想:『シン・ゴジラ』でつまらない所を、震えながら批判
2.庵野ファンの流入
これまでのゴジラシリーズというと、ゴジラを撮った監督目当てに観に行く方は少なかったと思います。
一方で、今回の監督はエヴァンゲリオンでお馴染みの庵野秀明監督。「庵野監督が作った作品だから」、「エヴァみたいな事やってくれそうだから」などを胸に抱き、ゴジラ関係無くこの監督目当てで観にいった方も多かったも模様。庵野監督の観客層が流入してきたのも、動員数の底上げとなっていた様です。
本来であればゴジラ世代となる30代~がメインターゲットになるはずですが、今回の『シン・ゴジラ』はは20代はたまた10代の動員も多かったらしく、各世代がバランスよく分布していた模様です。ゴジラをリアルタイムで観たことの無い様な若い世代まで巻き込んだのは、おそらくこのエヴァシリーズなどで若者から絶大な支持を持つ、庵野監督効果があったからでもあるのでしょう。
客層の男女比は83対17で男性客が多数を占めた。年齢別では20代が22.6%、50代が21.5%、30代が15.3%と続くなど、
40代以上が中心だったハリウッド版よりも幅広い層に訴求。鑑賞動機としては「ゴジラが好きだから」「12年ぶりの日本製ゴジラに期待して」に続き、
「庵野秀明作品だから」という回答も。作品評価が高く口コミも期待できることから、配給元では、興収40億円台も視野に入れている。シネマトゥディ記事より抜粋
庵野秀明『シン・ゴジラ』が1位!ハリウッド版を上回る快進撃【映画週末興行成績】
http://www.cinematoday.jp/page/N0084995
シンゴジラの観客層については、以下の記事にて詳細をまとめました。
『シン・ゴジラ』のリピート観客層は、男性客より女性客の方が多い?
3.豪華キャストの起用
これまでのゴジラシリーズというと、主役はあくまでゴジラであり、出演者・キャストの方はイマイチ力を入れておらず、一般的には余り知られていない俳優、言い方は失礼ですが色物系の俳優やB級俳優で固めている傾向がありました(もちろん実力派の方々も出演されていましたが)。演技や演出に関しても、どこかチープで特撮映画の域を抜け出せずにいました。
一方、今回のシンゴジラでは、長谷川博己、竹野内豊、石原さとみを筆頭に、今をときめく豪華俳優が総勢300人以上集結。そして、アカデミー賞狙いの映画かと言わんばかりの迫真の演技と演出が目立ちました。
これまで特撮映画・怪獣映画の常識を覆し、演技や人間ドラマパートも十分楽しめるゴジラとして評価されたこと、またこれら俳優たちのファンまでも新たな観客層として巻き込んだことも今回のヒットの理由と言えそうです。
4.日本が抱える意識とマッチしていた
「東日本大震災」の発生以来、自然災害や放射能被害への意識は大きく高まりました。また直近では「熊本地震」がおき、今後は「南海トラフ大地震」が警戒されています。
そんな災害が身近になった今の日本人と、災害や核の象徴とも言えるゴジラという存在が、これまでになくマッチしたのも今回のヒットの後押しになっていたかと思います。描写自体も少し過剰なくらい災害を意識させるものになっていましたしね。
1954年に公開された初代ゴジラも、太平洋戦争によるショックがあったからこそヒットしたとも言われています。同じく今回の『シン・ゴジラ』も、ゴジラの存在やゴジラ映画の掲げたテーマが、今の時代を生きる人々の意識とかつてなく合っていたのでしょう。
5.大人たちを劇場へ
これまでのゴジラシリーズと言えば、やはり映画としてはどこか子供向けのイメージが定着していました。特に直近の平成ミレニアムシリーズのゴジラ作品は、『とっとこハム太郎』と同時上映が当たり前になっていましたので、ゴジラはちょっと観たいけれど恥ずかしくて劇場に観にいけなかった人も多かったのではないでしょうか。
一方で今回のシンゴジラは、子供向け作品との同時上映撤廃、大人向けを意識した予告編トレーラーやポスターなど、比較的大人でも入り込みやすい気遣いがしてあり、大人でも気軽に劇場に足を運びやすかったかと思います。これらの工夫が水面下のゴジラファンを劇場へ呼び起こし、動員数の底上げになっていたかと思います。
また、直近の前作『ゴジラ ファイナルウォーズ(2004年)』でも10年以上前の作品となるため、以前ゴジラシリーズを観ていた子供達が、多感な時期を終え、ゴジラを落ち着いて再び楽しめる年代になったのもタイミング的に影響しているかもしれません。
また、皆さんご存知かと思うので敢えて深堀はしませんが、もちろんストーリーやテーマなど中身自体が大人向けだった事も大きく影響しているでしょう。
6.下げて持ち上げるの戦略的なプロモーション
シンゴジラ開封前に公開された予告編トレーラーでは、本編内で目玉となっているシーン(例の放射能熱線の破壊シーンなど)は一切写さず、どちらかと言えばイマイチぱっとしないシーンで構成されていました。(個人的にはそれでも大満足でしたが)おまけに予告編トレーラー以外の宣伝PR活動はほぼ全く行わず、先行試写会も関係者のみに留まりました。そういった事が原因となり公開前のシンゴジラの期待度は大きく下がり、不満の声も多々挙がっていたようです。
ですが実の所これは庵野監督の”下げて上げる”のプロモーション戦略だったようで、一旦わざと観客を裏切ることでハードルを下げ、本編の中身を観た観客の評価とその口コミによる広がりに掛けたようです。
結果的には、まさに庵野監督の予想通りの展開に。この戦略的なプロモーションもシンゴジラのヒットに大きく貢献していたのでしょう。
↓『シン・ゴジラ』第一弾予告トレーラー
7.考察としての楽しみ、考えたくなるゴジラ
今回のシンゴジラでは、「複雑で謎の多いゴジラの生態」、「意味深な言葉を残し放置されたままになっている牧教授」、「唐突に写されたラストの謎の尻尾の骨のカット」、などなど、数々の謎が散りばめられておりました。
また、従来の核批判に始まり、原発問題・機能しない組織・人間のエゴなど様々なテーマが交錯しており、まさに観終わってから誰かに話したくなる、考察したくなる作品となっています。
そんなウズウズした気持ちがSNSの拡散やリピーターを増やし、ヒットを後押ししたと考えます。
また『エヴァンゲリオン』の様に、謎や複線が多すぎて予備知識やリピートが前提になっているレベルではなく、予備知識無しで普通に観ても楽しめる、考察したい人には考察も楽しめるという適度な加減も良かったのではないでしょうか。
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8.第2形態というダークホース
観客を驚きと絶望に落としいれた、「シンゴジラ第2形態」。
往年のゴジラファンであれば「なんだこれは」、「お前は誰だ」と言わんばかりの斜め上からのアタックで作品に引き込まれたでしょう。あそこ厳しい目で批評しようとしていたマニア層の意識を一気にリセットさせたと思います。
またゴジラシリーズを初めてみた方も、キモイ、怖いのトラウマを与えて脳裏に深く刻まれたかと思います。
更には、映画を観てしばらくした後に「可愛い」、「大好き」、「飼いたい」などの謎の中毒症状を与える効果をこの第2形態は持ち合わせています。
この「シンゴジラ第2形態」という圧倒的にファンシーなキャラクターがいた事も、この映画が忘れられない存在になり、しいてはシンゴジラのヒットに大きく関与しているかもしれません。
ある意味、この第2形態も庵野監督の下げて持ち上げるの戦略の一つだったのかもしれません。
※それを表すように、ネット上では、取り憑かれてしまった方々の第2形態を愛でる声で溢れかえっています↓
関連記事:
【ソフビ人形も売り切れ】シン・ゴジラ第2形態のキモ可愛い魅力! ※ネタバレあり
9.万人受けする”ゴジラ映画”であった
今回のシンゴジラは「コアでマニア向け」、「人気だけれど万人受けはしない」と言われていますが、私は逆で、これまでで最も万人受けするゴジラ映画であったと思います。理由は以下とおり。
・国家の災害対策といった、比較的性別や年代を問わず入り易いテーマを主軸にしている。
・登場人物個人個人にスポットを当てていないため深く感情移入はできないが、その分話に癖が無く、老若男女問わず物語の世界に入りやすい。
・これまでのゴジラシリーズのように怪獣が暴れまわりお祭り騒ぎで幕が閉じるのではなく、後半は人間がどうしていくかの哲学的な話となってくるため、怪獣バトルに期待していない方でも映画として楽しめる。
・一方で従来の怪獣映画やゴジラ映画としての魅力もしっかりと残しているため、子供やゴジラ好きも引き離さない。
・話や設定が難しいと言われてるが、大枠部分は怪獣と戦ってるだけなのでとても分かり易くシンプル。子供でも、途中で席を外した人でも大枠部分は十分楽しめる。
背後にある複雑な設定に深入りしていくと確かにマニア向けな映画ですが、さらっと観る分には、これまでのゴジラシリーズと比べると万人受けするゴジラ映画であったかと思います。
現に、これまでのゴジラ映画は、ゴジラ好き以外の人相手には口にする事自体躊躇したかと思いますが、今回のシンゴジラは、ゴジラに全く興味が無い方にも映画として率先して薦められたのではないでしょうか。それも口コミの拡散を後押ししヒットを支えたと考えます。
10.つまらないけど人気の映画
最後に、今回シンゴジラがヒットした最も根本的な理由を書きます。
それは、ゴジラがつまらないけれど人気の映画だからだと思います。
皆さん、ゴジラ映画を心底楽しいと思ったことはありますか?
おそらく、そこまで楽しくない、実はつまらないという方が多いのではないでしょうか?
例えば、
・小さい頃や若い頃に観たゴジラが楽しかったのでゴジラシリーズはとりあえず惰性で観ている
・だけど毎回つまらなく裏切られている
・だけどゴジラの新作と言われるとまた興味が沸いてしまう
・むしろ俺なんてゴジラはもう随分長い間観てなけれど、それでもゴジラ作品というと毎回気になっている
・むしろ私なんてゴジラをこれまで一度も観たことないけど、なんか国民的に愛されてるから知っている、そして実はいずれ観てみたいと思っている
これが過半数の方がゴジラに対して抱いている気持ちではないでしょうか?
私もゴジラシリーズは本当に大好きで20年以上親しんでいます。ただ面白くも感じるのですが、やはりつまらなくもあるんです。上手く表現しにくいのですが。そしてそれでも観ています。
ゴジラ映画とは、つまらないけれど、人気が失われず多くの世代から愛され続けている不思議なコンテンツだと思います。つまりは、もともとハードルがすごく低い映画なんです。つまらなくても愛され、ちょっとでも面白ければ評価され大爆発する、ゴジラ映画とはそんなおいしいコンテンツであり、安心安全の一大ブランドであったかと思います。ですが少し頑張って作ればいつでも大ヒットを巻き起こせる地盤はあったのに、「ゴジラは、まあこんな感じでもそれなりに客が入る」と甘んじて中途半端に停滞していたのがこれまでのゴジラ映画であったかと思います。私はゴジラ好きとして、ここは断言したいです。
だから、ある程度”本気”でゴジラ映画を作れる(作るつもりのある)監督が来れば、始めからそれなりのヒットは約束されていた。そして、そこにきたのがよりによって庵野監督であった。ゴジラや特撮を十分過ぎるほど理解している、言わばマニア中のマニアの監督が、日本のゴジラを本気で調理してしまった。そこで、下がりきっていたハードルと、それでもなお多くの方がゴジラに対して抱いていたかすかな期待感が、相乗効果で大爆発した。これが今回のシンゴジラ大ヒットの根本ではないでしょうか。
『シン・ゴジラ』は想定外のヒットとも言われていますが、既に庵野監督と決まった時点である程度のヒットは約束されていた、いわば半出来レースであったかと私は思います。さらに、そこに前述した様々なヒット要素が加わり、より大きな噴火となったのかと。
逆に、これがゴジラではなかったらどうなったか。仮に庵野監督が全く同じ内容で、ゴジラだけ別の怪獣に置き換えて撮ったらまるで人気は違っていたでしょう。それこそマニア向けの近寄りがたい映画で終わりかと。
今回のヒットは、ゴジラが造り上げてきたブランド×庵野監督の2つあってこそ成り立ったものかと思います。
上はネットで話題になっている磯野貴理子のシンゴジラに対する反応です。
おそらく、この反応が今回の『シン・ゴジラ』ヒットを一言で表しているかと思います。
この磯野貴理子さんの様にゴジラはなんとなく頭にあるんだけれど、実際「どんな映画?」と聞かれればよく答えられず、観たいとは思うけど子供っぽいチープなイメージが先行して抵抗する、そして今回これが大きく覆された。この反応こそがシンゴジラヒットの根底にあるかと思います。
まとめ
以上が今回シンゴジラがヒットした理由として考えられる点となります。
今回のシンゴジラで、ゴジラ映画がやっと日の光を浴びたようでゴジラファンとしてはとても嬉しいです。今後もゴジラシリーズは日本を代表するヒット映画として君臨していって欲しいものです。
『シン・ゴジラ』で新しくゴジラファンになった方へ
最後に、今回『シン・ゴジラ』で新たにゴジラファンデビューした方に向けて、
『シン・ゴジラ』を観た後の流れで、比較的入りやすいゴジラ映画をまとめました。
もし「他のゴジラ映画も観てみたいな」といった方のお役に立てれば幸いです。
シン・ゴジラに似てる?シリアスで大人向けなゴジラ映画ランキング、おすすめベスト10
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こちらは私のゴジラへの想いを語ったもの
「ゴジラ」とは何なのか、なぜ人はこの怪獣に惹かれるのか
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またしても妄想を広げにお邪魔しました、こんばんは。
ヒットの理由というか、これは上手いなと思った手法が2つあります。
1つめは尻尾の謎の記事の時にも書いた、ゴジラを使った隠し絵の手法。
3・11のような地震、津波、原発問題もろもろ。
9・11のような旅客輸送手段の爆弾特攻や、崩れ落ちる高層ビル。
ちなみに、一番上に掲載されているゴジラが熱線出すシーンですが、
本当におっかないのは火炎の方で、紫の熱線はたぶん目くらましです。
ゴジラを消して、上空の米軍機をBー29に変えれば別の絵になります。
元の絵はきっと焼夷弾による東京空襲でしょう。
我々がなんとなく見知ったショッキングな絵に、ゴジラ=虚構をブレンドして
上手くファンタジーにしていますよね。
2つめは、博士の手紙。
昔、似た手法でベストセラーになった本があったのを思い出しました。
森のそばの家に一人の女の子が住んでいて、
お父さんは船乗り。お母さんも留守がち。
女の子の名前はソフィ。
ある日ソフィ宛てに差出人不明の手紙が届く。
中には一行 「あなたはだれ?」 とだけ書いてある、というスタートです。
世界中で大流行した記憶があります。
メッセージを受け取った側=観客からすると深読みせざるをえません。
「わたしは好きにした〜」の一文は、観客を「いろいろ考えたい気分」に
させるのに、かなり効果的だったと思います。
こちらの記事にもコメントまたまたありがとうございます。
1つ目については、火炎のシーンなどたしかに東京大空襲そのままです。そこまで気づきませんした。
おっしゃる様に、今回のシンゴジラには様々な比喩、暗喩が取り込まれてそうですよね。
迫力の破壊シーン、安心安全の東宝BGM、無数に飛び交うテロップなどで観ているときは注意が分散させられますが、サブリミナル効果みたいなものが多数盛り込まれており、後々気になる映画にさせられる感があります。
2つ目の「私の好きにした」は、まさにそのソフィ同じスタイルなのでしょうね。
結局あの一文があるかないかで、考察意欲も全く変わりますし考えられるパターンも一気に変わってきますもんね。
エヴァなんかはむしろそういうのが溢れ過ぎている様な作品に感じますが、今回のシンゴジラの場合考察を全く無視しても楽しめますし、考察したい人には程よく楽しみを残してくれる、いい感じの謎の散りばめ方だったと思います。
ちょいと間違ってますね。シンゴジラにの分析は良いですが世代についての認識はズレています。
これ書いたライターさんはゴジラ映画界隈の門外漢でしょう。
20代はvsシリーズやミレニアムシリーズの直撃世代ですよ。
30過ぎもvsシリーズ世代ですが、30代半ばくらいになると、対象年齢時期のゴジラ映画がなく、ゴジラ空白世代になります。
ちなみに昭和シリーズのゴジラ世代は、およそ40代半ば以上になります。
コメントありがとうございます。
失礼しました、たしかに言われてみればそのとおりで20代もゴジラ世代ですね。
ただ20代が親しんだミレニアムシリーズは観客動員数自体が少なめですし、年齢が若い分ゴジラシリーズに入り込む機会も年配者に比べ少ないかと思います。(例えば、40代であれば大半は昭和シリーズかと思いますが、中にはVSシリーズやミレニアムシリーズから入り込みファンになった方もいるかと思います。)
そう考えると、20代はゴジラ世代には含まれても直撃とまではいかないのではないでしょうか。それで22.6%と高い動員数を誇っているのは、やはりゴジラだけでなく庵野監督やエヴァの効果があったのではないかと。
返信ありがとうございます。
私は管理人さんとほぼ同世代の30代なのですが、今の20代後半を見てるとvsシリーズへの思い入れがとても強い(ミレニアムシリーズ世代はおおよそ今20代前半の世代ですね)。
年齢を照らし合わせて見ても今20代後半の世代は幼少期〜少年期のはじめにvsシリーズに夢中になっていただろうから、vsシリーズ世代だと認識されています。
キングギドラ以降のvsシリーズは子どもとその親をターゲットにしたファミリー映画なので、放映時の園児〜小学生くらいが直撃世代といえるわけです。(84ゴジラ、vsビオランテは大人のゴジラファンがターゲットです)
そうすると、キングギドラ〜デストロイアまですべてがマーケティング層内であった私や管理人さんくらいの世代が1番の直撃世代だし、ゴジラ映画のファン界隈もおおむねそれが共通認識ではありますが。
まあ10年の幅は一括りで語るには広すぎるとも思いますけどね。
アンノ効果、エヴァ効果もあったと思いますが、それなら30代も同じはず。なのに30代が15パーセント程度と低いのは、やはり30代後半がゴジラに思い入れのない層だからでしょう。
すべての映画の30代比率が低ければ、たんに今の30代は映画を見ない世代だとみなせますが、そうではないですから。
返信ありがとうございます。
なるほど、では細かく言えば
10代~ 弱
20代前半 中
20代後半~35前半 強
35代後半~40代前半 弱
40代後半~ いろいろ
イメージとしてはこんな感じでしょうか。
ただ、私たちの世代も間に休止期間もありましたし(モスラやガメラはやっていましたが)、なかなか正確に天秤に掛けるのは難しそうですね。
いずれにせよ、今回のシンゴジラは過去最高に年齢分布が広がっている作品かと思います。
アニメが大きいお友達向けに作る作品が多くなったのに特撮が大きいお友達に向けて作られてこなかったのがシンゴジラより前のゴジラで衰退した原因の一つだと思う中途半端に小さいお友達に媚びて大きくなった目の肥えた元小さいお友達にはチープに映った事でしょう、ヒットアニメを制作した監督である庵野秀明監督の作ったゴジラは目の肥えた大きいお友達の好む所を良く理解しているんだと思う。
ヒットした所で続編で視聴者の期待を全力で落としに来る悪い癖が出なければ良いのだが・・
コメントありがとうございます。
そうですね。ここ十数年で、アニメ・映画・ゲーム・漫画など様々なメディアが大きなお友達向けにシフトしていった気がしますが、一方でゴジラはわざとそれに逆らっているかと思うほど停滞していた気がします。
今後はどうなるのでしょうね。当分このリアルなスタイルで行くのかと思っていましたが、来年はアニメに行く様ですしなにやら先が見えなくなってきました(笑)
>出演者・キャストの方は一般的には余り知られていない俳優、言い方は失礼ですが色物系の俳優やB級俳優が主演を固めているのが恒例でした。
好意的な評価に水を指すものではありませんが、上記の箇所だけは同意しかねますね。
昭和時代後半のゴジラはさておき、84年版以降の作品に主演を務められたのは「小林桂樹、田中健、沢口靖子、三田村邦彦、高橋幸治、小林聡美、別所哲也、高嶋政宏、辰巳琢郎、村田雄浩、阿部寛、西田尚美、田中美里、谷原章介、宇崎竜童、新山千春、釈由美子・・・」とそれなりに知名度も演技力もある方が主役をされてらっしゃいます。この方々を、色物、B級俳優と断言されてしまうのは如何なものでしょうか。
コメントありがとうございます。
すみません。確かに断言的に書いてしまったのは良くなかったです。一部修正させて頂きました。
おっしゃる通り、第一線で活躍している方も多々出演していますし、演技としても十分観れるゴジラ作品も過去にありました。
ひと括りにするのは良くないですね。。。失礼しました。
ただ、やはり今回のシンゴジラと比べてしまうと、キャスト構成は本腰を入れてない感がありました。特にミレニアムシリーズにおいては、実力派も出演されていますが、それよりもその時々の人気な俳優やお手ごろな俳優で選んでいた様な印象を受けました。
形態変えたり顎が裂けたり。。。もう呆れた。。。
vsの相手ならともかく、この作品でゴジラはなんでも有り!になってしまった。。。
今後作られるゴジラもさらに壊されていくんだろうな。。。
もう二度とこの監督にはゴジラを作ってほしくないと切に願う。
そしてゴジラを顎が裂けるエイリアンのようにはしないでくれ!頼む。。
コメントありがとうございます。
私も正直今回のゴジラに不満を挙げようとすれば、いくつか出てきます。
イグアナで耐性が付いたのか、顎はさほど気になりませんでしたが、最後の人間みたいな造形はゴジラ映画としては残念です。
ただ、トータルとしてはそれでもかなり良い映画だったのではないかなと。庵野監督は今回1回限りな様ですし。
※個人的な見解です。
・ゴジラは牧教授と生命のスープである海洋DNAの混合生物である。
核を恨み、政府を恨んだ教授は自らの研究で自らがゴジラになる研究をしていた。
執拗に都心を狙ったのは政府への恨みからでしょう。
「私は好きにした。お前たちも好きにしろ」
冒頭、小型船の中にあった鶴の折り紙=平和の象徴
人類にゴジラの設計図解読のヒントを残した。(設計図を折り解読するシーン)
「核に頼り滅びの道を選ぶのもいいだろう」
「設計図を解読し核に頼らず生きる道もある」
という意図を感じました。
ラストシーンの尻尾は、元々は人間がベースであるという示唆か。ゴジラの進化の先が人間であるという示唆か、はたまたこの先、進化分裂を仄めかしているのかは、わかりませんでした。
(人類が核攻撃を選択した場合それが引き金となってさらなる進化を促す可能性も…)
だけど面白い映画でしたね。
コメントありがとうございます。
牧教授の目的について、ラストの尻尾の示唆するものについて、これは実に様々な方向から考察できますよね。
私も色々な方向から考えてみましたが、やっぱりこれだという結論にはたどり着けませんでした。
実際のところ、どういった意図があるのでしょうか。気になるところです。
庵野監督は実際深い意味はなく思わせぶりに意味深なシーンを描く事も多いようですが、
このシンゴジラに関しては何かしらの意味があって欲しいものです。ラストシーンが何を意味しているかで、この作品の方向性は大きく変わりそうですし。
『シンゴジラ』のコンセプトの中心は、「テロ撲滅のための国連軍のシリア攻撃」に対し、「ゴジラが世界に脅威を及ぼすから、日本には悪いけど今のうちに核兵器で殺してしまえ」というストーリーに置き換えて非難してるところなんだろうけど、それは良しとして、核の問題(極東に押し付けてしまえ)や、大きな枠内での災害の問題や、日本の政治/行政のシステムの問題が、ごちゃ混ぜになってしかも役者は早口でまくしたてる。其の辺りを制作サイドは全く制御できておらず、バラバラになっている上に、どう考えてもこのキャスティングかよと思わせる、中途半端な男女の主人公が、将来の大統領だの総理大臣だのと意味不明なことをしゃべる。
そういうごちゃごちゃした中で、いろんなコンセプトを消さないようにしたいがために、屁理屈やら説明やらが際立ってしまい、映画本来のカメラワークや細部のこだわりがおろそかになっている。世間一般では超リアルだとか言っているけど、本当の意味のリアルが何か解っていないから、全てが嘘くさい。ほんとに退屈な2時間。
コメントありがとうございます。
たしかにおっしゃるとおり、今回のシンゴジラはテーマが複数ありすぎて、結局なにを描き語ったのかが分かり難い部分もあります。
また、将来の大統領や総理大臣の部分は、私も違和感を感じました。あそこはかなり浮いていましたよね。
これまでのシリーズから比べると十分リアルなゴジラだったかと思いますが、突っつけばボロも沢山ありそうです。
本当に面白くない。
アンノ好きにはたまらんのか?
ゴジラって昔から良い作品ですよ。
わざわざゴミ監督が出てきてメガホン取るとかやめてほしい。
大人は行かない、自分もですが、中古のDVDで観ました。1980円です。