記事公開日:2017年10月26日
最終更新日:2018年4月4日

日本映画(邦画)

優しく切ない感動、ジブリの隠れた傑作『思い出のマーニー』感想・評価・レビュー ※ネタバレなし

2014年にスタジオジブリが制作した劇場版アニメ映画『思い出のマーニー』。

おすすめジブリランキングなどは度々顔を出す作品ではありますが、興行成績は35.3億円とイマイチであり、あらすじ・テーマもちょっと地味系の作品ですので、たぶん気になってはいても観てない人の方が多いのではないかと。

実際私もだいぶ敬遠していました。けれど蓋を開けてみれば極上の傑作。久しぶりの「これがジブリだ!」と思わせるほどの良作。

そんな映画『思い出のマーニー』の感想・評価・レビューを書かせて頂きます。

※まだ観ていない方にも向けて、本筋のネタバレはなしで書いていきます。

『思い出のマーニー』の作品紹介・あらすじ

まず簡単に思い出のマーニーの作品紹介を。

作品紹介

『思い出のマーニー』は2014年7月に劇場公開された日本のアニメ映画。制作はスタジオジブリ。監督は米林宏昌。(本作には宮崎駿・高畑勲2名は一切関わらず)

1967年に出版されたイギリスの児童文学『思い出のマーニー』(著:ジョーン・G・ロビンソン)を原案に、スタジオジブリが現代の日本に舞台を変えアレンジしたのが本作。

あらすじ

北海道札幌に住む中学1年生の少女、佐々木杏奈(アンナ)。アンナは家族の事情や持病の喘息から、心を閉ざした日々を送っていた。

そんなアンナを見かねた母の頼子は、療養もかねてアンナを片田舎の親戚の家に夏休み期間中預けることに。

田舎にもなかなか馴染めなかったアンナだったが、ある日古びた洋館で、同じ歳ほどの外国人の少女「マーニー」と出会う。

不思議とマーニーに心を開き、打ち解けていく2人の少女。しかしそれはまるで夢のようでもあった。

↓こちらは予告編の動画。予告でも少し損していますね。この予告と観た後の印象ではだいぶ変わります。

 

 

2.『思い出のマーニー』感想評価レビュー、地味ながらジブリらしい正統派作品

さて本題の感想、評価を。

本作は上のあらすじを見て貰っても分かる通り、”地味”です。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、作風としては壮大な物語ではなく、片田舎の小さな世界で起こる人間ドラマですね。ボーイ・ミーツ・ガール的な面もありますが、それとも少し違う感じ。(そもそも女同士ですが・・)

シンプルではありますが、それがとても綺麗で優しく「ああこれはいいな」と思わせる完成ぷっりでした。

主人公はジブリとしては珍しく、塞ぎがちで少し心の闇のようなものも抱えた少女アンナ。この手のこじらせ系主人公は最近の映画・アニメでありがちで、もうお腹いっぱい感がありますが、そこはさすがのジブリ。
チープで痛々しい感じではなく、暗いながらもどこか惹かれるキャラクターとなっています。

キャラの作画は親しみやすいデザインで、背景もリアル寄りで美しい。描写的には『耳をすませば』に近い感じです。大人が観ても入り易い雰囲気であり、キャッチとしては抜群です。最初の数分で「ああこれは最後まで楽しめそうだ」と思わされました。

海沿いの田舎町の穏やかで懐かしい風景が広がり、雰囲気だけでもお腹いっぱいになれるような映画。特に夏に観たい系の映画ですね。公開も夏だったようですが。

声優もとても上手く、それぞれのキャラクターの魅力を倍増させています。(ただちょっとマーニーの声がイメージより低かったのが気に掛かりましたが。)

 

それで肝心のストーリーですが、話としてはやはり地味です。
背後に”秘密”のようなものもあるのですが、おそらく多くの方は展開の予想ができます。たぶん制作側もあえてそれを観客側に予想させた上で進めさせているかと。

こう書くと「じゃあつまり地味で何のひねりもない話?」と思われそうですが、そこもさすがのジブリ。シンプルで予想ができそうなストーリーでも、なぜかぐいぐいと惹きこまれ、最後は素敵な感動と、切なさがありつつも心地よい気持ちにさせてくれます。

言葉で表現し難いのですが、往年のジブリ映画を彷彿させるような、抜群の安心感や安定感がある作品といった感じです。

一文で言えば、『となりのトトロ』系+優しく深いヒューマンドラマといった感じでしょうか。

制作陣の背景は知りませんが、なんとなく『となりのトトロ』を意識している感じがあります。もちろんトトロとはストーリーもジャンルもまったく違うのですが、観終わった後にはトトロを観たあとの感じが残りますね。

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トトロは全世代向けですが、この『思い出のマーニー』はどちらかというと、やや悲しいや辛い話も交えた大人にも受けそうなトトロ的な作品。そして描写は『耳をすませば』寄り。

そんな映画です。

 

キャラ作画は癖が無くデフォルメも弱いため、アニメが苦手な人でも入り易い。

出典:https://www.oricon.co.jp/news/2036396/full/

背景のタッチは『耳をすませば』のようにリアル寄りで綺麗。夏の田舎町を堪能できる。

出典:http://ghibli.jpn.org/report/when-marnie-was-there/

 

 

3.ジブリ映画はこういったシンプル系が最強なのでは?

ジブリ映画は、『もののけ姫』あたりからでしょうか。少し方向が個性的で過激になった気がします。神隠しにあったり、城が動いたり、魚ファンタジーになったりと。そういった挑戦心溢れるジブリ作品も面白いです。

でも、ジブリはもっとシンプルで普通な感じの作品が一番合っているのかなと思いますね。

『となりのトトロ』、『魔女の宅急便』、『耳をすませば』あたりもそうですが、これらの作品は話自体はかなりシンプルです。それなのに、一つ一つのシーンが心に残り、惹きこまれ、感動のようなものを味わえます。今回の『思い出のマーニ―』もまさにそんな系の映画。

逆に『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』などは、次どうなるんだ?的な面白さはありましたが、一つ一つのシーンはそれほど感銘を受ける感じはなかったですね。

なのでジブリ映画は、今回の思い出のマーニーのようにシンプルで普通な感じがやっぱりイイんじゃないかなと思います。

最近は派手で複雑で奇想天外、話も二転三転もする濃いアニメ映画が沢山作られていますよね。そういうのはそっちに任せておけばいいんです。
逆に言えば他の制作会社がこの『思い出のマーニー』を作ったとしても、ここまでの仕上がりにはならなかったのかなと。そんなジブリらしく、ジブリの良さがにじみ出ていたのが今作『思い出のマーニ―』でした。

しかも本作は宮崎駿・高畑勲2名が一切関わっておらず、米林宏昌監督が次世代の制作陣を率いて作り上げたというのだからすごい。これから先のジブリに期待が持てる作品でもありました。

個人的には名作・傑作と呼べるジブリ映画に含まれるかと。

 

まとめ

以上、思い出のマーニーの感想・評価・レビューとなります。

総括すれば、地味で損しているけど観ると幸せな気分になれ満足できる良作といった感じ。

原作は児童文学ですが、子供向けの癖のようなものはなく、基本的にどんな世代でも楽しめる作品かと思います。

【思い出のマーニーはこんな人におすすめ】
・ジブリ映画が好きな人
・感動や爽やかな気持ちになれるアニメ映画を探している人
・現実に少し疲れてしまった人
・思春期の葛藤に悩まされている人
・景色や雰囲気の良いアニメ映画を探している人
・夏の田舎を堪能したい人
・悩める女の子が主人公のアニメ映画を探している人
など

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