※今回もちょっと長めです。
11月17日から公開が始まった、アニメ版ゴジラとなる『GODZILLA 怪獣惑星』。本アニメゴジラシリーズは三章構成となっており、今回はその一章にあたる作品。
さて今作はゴジラ初のアニメ映画であり、少々色物系でもあります。警戒している方も多いかと。観客層も幅広いかと思います。
色々と判断が難しい作品でもあるため、
①ゴジラやアニメに余り興味のない一般層
②アニメやアニメ映画が好きな層
③ゴジラが好きな私(ゴジラが好きな層)
この3つの視点に立ち、「この映画がどのように映るか」を各視点から感想・評価・レビューとして書いていきます。(ちなみ私自身は、映画はオールジャンルで好み、アニメはやや見る程度、ゴジラは子供の頃から愛している層です。)
※これから観る方も多いかと思いますので、映画本編の具体的なネタバレは極力なしでいきます。
作風やゴジラの描き方など、そういった全体的な雰囲気に関するネタバレは入ります。
1.一般層の視点の『GODZILLA 怪獣惑星』の感想・評価・レビュー
まず、普段ゴジラやアニメをあまり観ない一般層が観たらどう感じるか。その立場に立った感想。
昨年公開された『シン・ゴジラ』では、怪獣映画らしからぬ、社会的テーマ・ヒューマンドラマ・入り組んだ謎やミステリー、被災した今の日本への投げかけも含まれており、世間的にも受け入れられ易かったかと思います。
対して今作『GODZILLA 怪獣惑星』は、残念ながらそういったタイプの作品ではありません。昔のゴジラのように怪獣プロレス満載の怪獣映画でもないのですが、少々一般層には取っつきにくい部分が多いかと。
一言で表せば、ゴジラをテーマにした壮大なSF物といったところ。
アニメーションを用い、日本が生み出した怪獣「ゴジラ」を、邦画の予算では実写で到底表せないであろうスケールと世界観で描いています。
まだ一章なので全貌は掴めませんが、地球全体を巻き込んだ大規模な話であり、相手となるゴジラも過去最高レベルの強敵。亜空間ワープによる時間移動などSF的描写も満載。
その手のSF物/パニック物/スケールの大きい作品/壮絶な敵に立ち向かっていく作品/が好きな方にはかなり満足できる作品ではないかと。逆にシンゴジラのように文化的?な作風を求めている方には少々物足りないかと。
キャラデザインもアニメアニメしておらず、ゴジラ本体の描写や破壊の描写もアニメとは思えないほど迫力やリアリティがありました。この手のジャンルに興味がある方ならアニメが苦手な方でも面白いかと思います。ただし、アニメならではのややくどいセリフ運びや感情表現などがあるため、そこは気になるかもしれませんが。
アニメーションだからこそ描ける、壮大なスケール・世界観のゴジラ。
東宝 本予告より
2.アニメ好き視点の『GODZILLA 怪獣惑星』の感想・評価・レビュー
続いて、今作をアニメ好きの立場にたったらどう写るか。(ここはアニメに詳しい方に比べ少々自信ないのですが、お許しを)
今作は、『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄氏が脚本を担当していることもあり、やはり面白い展開でした。序盤は「面白いけれど、虚淵玄のわりにはなんだか・・」と少々眠くなるところもあったのですが、やられた感があります。(ネタバレになるので詳しくは書きません。)
奇をてらったものではくストレートなんですがそれなのに変化球になっている感もあり、面白い展開でした。次回にも期待できる流れでもありました。普段、一転二転する濃いアニメに慣れてしまった方でも見応えあるでのはないかと。
「軍事戦略」や「科学技術」等の専門分野もしっかりと下調べした上で練られている印象で、その手の分野に精通している方でも満足いく内容かと思います。環境についても、建築物が数万年後も朽廃せず残っていたらアウトでしたが、その辺の細かな設定・描写も抜け目なかったです。
宮野真守・花澤香菜・杉田智和・梶裕貴・小野大輔など今を時めく人気声優たちが、かなりの熱演をしているのも見応えあり。ゴジラシリーズであるプレッシャーのようなものもあったのでしょうか。
連続公開の劇場アニメ作品によくありがちな「1章はプロローグだから中途半端に終わらす」罠もなく、本作単体でもなかなかに見応えがありました。
3.ゴジラ好きの私自身が語る『GODZILLA 怪獣惑星』の感想・評価・レビュー
最後に一番書きたいこと。ゴジラ好きの私から見た感想レビュー。
ゴジラに求めるものは人それぞれかと思いますが、私は「核の申し子というキャラクター」、「現実の街を破壊する怖さ」、この2点に特に惹かれていました。が、今回そういった部分は残念ながら薄れています。
ただ、もう一つゴジラに惹かれるものがあります。それは強さ。
人がどうやっても勝てない存在、この世のものとは思えない圧倒的な力を持った”生物”。ゴジラのそんな面にも小さい頃から惹かれていました。
ゴジラの強さは、シリーズを追う毎に薄れていきました。
ミレニアムではサイズや火力は落ち、海外ではマグロを食べるイグアナに、ファイナルウォーズではどこかコミカルに。『ゴジラ2014』や『シン・ゴジラ』では持ち返してきたものの、バンカーバスターの一撃で被弾したりとまだまだゴジラの強さを十分に感じ取れていません。
今作『GODZILLA 怪獣惑星』では、ゴジラの持つ強さ、ゴジラならではの恐るべき力が存分に発揮されそうなのです。そういう意味で、本作の展開・設定・脚本は素晴らしかったと。
まだ一章なのでなんとも言えない部分もありますが、今回のアニメシリーズではこれまで抑えられていたゴジラの力や脅威が思う存分描かれそうなのです。その点はある意味心から求めていたモノでした。
できればこれをアニメではなく実写でやって欲しかったのが本望ですが(あと伊福部音楽で)、とはいえアニメであっても十分期待できそうなのです。
観に行く前はアニメだからと高を括っていましたが、予想外に見応えアリでした。今まで観れなかった、想像を絶するゴジラの強さと恐怖。それが今回のアニメシリーズで描かれてくれるかも。
ゴジラ好きですと「ゴジラとはこうだ」とどうしても固めてしまいがちです。もちろん私もです。ですがそういった縛りを外し、色眼鏡を消してみれば、ゴジラの新たな魅力が感じられる系の作品ではないかと。そう感じました。
これまでのシリーズを圧倒する、恐るべきゴジラ。
東宝 本予告より
まとめ
以上、『GODZILLA 怪獣惑星』の3パターンからの感想・評価・レビューでした。
アニメである以上に、脚本や設定がこれまでのゴジラシリーズから大きく逸しているため、評価は難しい作品です。「もっとこうだったら」と思う点もいつくかあります。ただ、予想以上に面白く、今後が期待できる作品であったのが率直な感想。
本作は今後Netfilix (ネットフリックス)でも配信される予定です。劇場まで足を運びたくない方であれば、ネット配信だけでも観覧してみてはいかがでしょう。きっと予想以上の印象を受けるハズ。(ただ、戦闘シーンが一つの見どころなので、できれば劇場鑑賞がおすすめな作品ではありますが)
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関連記事:
アニメのゴジラ『GODZILLA 怪獣惑星』特集、作品概要・関連情報まとめ
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はじめまして、私も観てきました
突っ込みどころが無いでもなかったですが、シン・ゴジラよりは面白かったです(シンは怪獣映画てはなくパニック映画としては評価しますが)
途中、撤退を指示した隊長がやられた後、主人がゴジラに対して憎しみを向けるシーンで「お前の身勝手な行動力が原因だろ」と突っ込みを入れました(笑)
地球とは誰のものなのかというウルトラセブンのノンマルト回に通じるテーマを感じました
国産の実写は平成ガメラが最高で以降は期待できないので、来年公開される「ゴジラ対キングコング」に期待してます
雑書、乱文、失礼しました
コメントありがとうございます!
そうですねよね、たしかにあそこは隊長に原因があったような(笑
おなじくドラマシーンではちいくつか突っ込みたくなるところはありました。
個人的に植物の設定がちょっとワクワクしています。植物を絡め地球そのものや生命進化とかの話まで入っていけばもっと面白そう。
私はシンゴジラもとても楽しめた口なんですが、今回はそれとは別の面白さがありそうで期待しています。
早く次回観たいのです。