記事公開日:2018年6月2日
最終更新日:2020年5月2日

おもしろ漫画、書籍

初見感想:人生ではじめて名作『火の鳥』のアニメ4作一通りみたらこう感じた

手塚治虫作品の中でも、名作と名高い『火の鳥』。

私はSF系の映画や漫画は好きなのですが、手塚治虫の作品は今までほとんどちゃんと読んだことがありませんでした。『ジャンク大帝』や『三つ目がとおる』あたりは、子供の頃にTVで観た記憶がありますがその程度のニワカ。なんとなく手塚治虫の漫画は絵のタッチが苦手で、手が伸びなかったんですね。

『火の鳥』についても、小学校や図書館の名作コーナーによく置いてあり、作品自体は子供の頃から認識してましたが、どうも興味が持てなかった。「鳥の話の何が面白いの?」って。

そんな感じで避けてきましたが、30代になった今ようやく火の鳥シリーズのアニメ版を一通り見てみました。

今回観たのは、以下の4作のアニメ版。火の鳥シリーズは、どの作品から入っても問題ないとの事だったので、とりあずこの順序で観ました。
・火の鳥 ヤマト編
・火の鳥 鳳凰編
・火の鳥 宇宙編
・火の鳥 2772 愛のコスモゾーン

その上で、初心者からみた火の鳥の感想を綴っていきます。初めて火の鳥に触れたら、こんな感じの印象を持ちました。

※ストーリーの具体的なネタバレは極力無しとします。

 

火の鳥は、生易しくなかった

今回『火の鳥』を観る上で、少しwikiで下調べはしていました。

かんたんに解説すると、
”火の鳥”と呼ばれる人知を超えた存在が、節目節目で人間に介入し、なんからの影響を与えていくというお話。それを紀元前エジプト~遙か先の未来まで、様々な時代を舞台に描いていくオムニバス的な作品。

この手の壮大なSF話は好きなので、少しワクワクしましたね。

それで、今回火の鳥として初めて観たのが「ヤマト編」。国々の争いが続く4世紀ヤマト時代の日本を舞台に、人間と火の鳥の逸話を描いた作品。

最初はwikiにある通り、突如火の鳥が表れ「ファンタジーな何かが起こるのかな?」、「人間を助けてくれるのかな?」的に思っていました。がしかし、実際見てみると、これがちょっと予想と違う。火の鳥が表れ、”何か”をやらかすのはその通りなのですが。

この火の鳥シリーズ、
人はどんどんと死んでいくし、いわゆるご都合展開がない。容赦がない。
火の鳥は仏様のような存在かと思えば、そうではない。
介入はしてくるが、そこに救いがあるわけでもない。
ハッピーエンドともバットエンドとも言えない。

良くも悪くも予想とかけ離れていました。

 

冒頭でも書いた通り、私は手塚治虫氏のことを詳しくは知らないのですが、それでも『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』のイメージから、彼はもっと子供の向けの夢の溢れる作品を書く漫画家だと思っていました。

が、『火の鳥』はそんなイメージとはかけ離れており、そこに夢もファンタジーもなく、哲学や宗教のようなものさえ感じる作品でした。このスタンスは、続けてみた「鳳凰編」、「宇宙編」、「火の鳥 2772 愛のコスモゾーン」でも同じ。

火の鳥というSF的な存在を使っていますが、すごく内面的で精神的なことを描いている作品に感じました。ジャンルは何にあたるのでしょうか。ファンタジーでもヒューマンドラマでも、SFでも無い気がします。

 

火の鳥の思考がよくわからない、そこに惹き込まれる

火の鳥は、神様でも仏様でもなく、いわば「調停者」のような存在です。何もかもを覆す力を持った調停者。

ただ、彼女?のその判決の基準が、よくわからないというかむずかしい。”完璧”じゃない部分を感じるんですよね。

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いずれの作品でも、善と悪を描き、火の鳥が介入し、流れが変わっていくわけですが困惑する事がありました。「それは善なのかな?」、「たしかに悪いことはしてたけど悪なのかな?」、「火の鳥の判断はそれが本当に正しかったのかな?」と思う場面が結構にありました。

それに、火の鳥は全てを司る存在でありながら、冷酷な判決も下しながら、どこか人間臭い部分もあるんですよね。自分の感情が押し出ているような。情でえこひいきしているような。

 

余談ですが、最近ツイッター上でも、”クソ鳥”として議論もされていたようです。
Togetter:『火の鳥』のクソ鳥っぷりについて突如語り出した人々のTL

 

そういった、火の鳥のよくわらない部分、不完全な部分に、面白いというか惹き込まれるものを感じました。次はどのように判断し、世界を変えてしまうのだろうと。

それは行き着くところ作者の価値観であり、天才と呼ばれる手塚治虫が、生命や善悪、生き方に対し、何を考え何を思っていたかが、色濃く出ている作品のようにも思えます。

手塚治虫の本性を垣間見れる部分も含めて、この作品は名作と呼ばれているんじゃないかなと感じました。

火の鳥はそんな作品でした。

また、火の鳥シリーズは、最後に明確な答えを出さないんですね。ぼやかすというか意図的に投げているようで、観客側に選択肢を与えてくれる。テーマがテーマだけに、「なにが正しいのかな?」と考えさせられますので、その点も面白いところでした。

 

 

 

 

まとめ:火の鳥シリーズは、今後も全作読んでいきたい作品

本当は火の鳥シリーズ全作品を観た上で語るべきですが、今回はあくまで初心者の目線として書かせて頂きました。

単純に観ていて面白いですし、もっと火の鳥を知りたくなったので、少しずつこのシリーズは漫画版も含め追っていきたいと思います。そんな風に思わされる作品でもありました。

基本的には、どの作品から入っても楽しめるようですので、私のように火の鳥をまだ読んでいなかった方がいましたら、ぜひ一度見てみてはいかがでしょうか。古い作品ではありますが、今でも驚くべき発見があるかと思います。

 

 

↓こちらは2004年に放送されたアニメ版『火の鳥 2004』。
原作漫画版をアニメ化したもので、黎明編~の話を順を追って楽しめます。ただし原作からアレンジされている部分も多いようですので、時間が無い方向け?

 

↓こちらは原作の漫画版。

 

 

 

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