記事公開日:2017年10月24日
最終更新日:2017年10月29日

グランツーリスモ攻略

徹底評価レビュー『グランツーリスモSPORT』、Eスポーツ化した本作の良い点・悪い点

満を持して発売されたPS4レースゲームの大本命『グランツーリスモSPORT(GTSPORT)』。

これまでのグランツーリスモシリーズと違い、Eスポーツ・オンラインレース寄りに造られているため、本作の評価がなかなかに難しいです。良い点悪い点の両方があるのも事実。アマゾンレビューなどでも若干叩かれていますね。

さてグランツーリスモやレースゲームを長らく愛好してきた私が本作をプレイした上での感想を、グラフィック・挙動・システム・ゲームデザインあらゆる点から評価させて頂きます。

※包み隠さず、良い点悪い点も含めやや辛口に評価レビューしていきます。

 

グランツーリスモSPORT評価、良い部分について

まず、GTSPORTで良かった点についての評価を列挙していきます。

 

1.グラフィックは文句なし、驚くべきリアルさ

かつてからグランツーリスモシリーズは、色や空気感の演出が上手く、たとえば海外「フォルツアシリーズ(Forza Motorsport)」等よりも自然なリアルさがありました。日本人クリエイターならではの感覚というのでしょうか。

今回の『GTSPORT』はこれに更に磨きが掛かった印象。

クルマやコースオブジェクトの細かなディティールがより美しくなっているのは勿論ですが、それ以上に”全体”としての空気感のようなものがトンでもなくリアルになっています。

朝の爽やかな空気感、昼下がりの燦燦とした空気感など、まるで画面の前にリアルな世界が広がっているような印象。レースゲームに留めておくのは勿体ないレベルのグラフィックかと。

フレームレートも大幅に向上しており、まるで実車がレースしているかのような滑らかな動き。レースカー同士のバトルを観戦モードで観ると、まるで本当にサーキットにいるかのような迫力さえ感じます。

また今作は、実写の高画質画像の中を3Dのクルマが動く演出技術があるのですがこれには唖然としました。もうしっかりと観ないと人間の目では本物かゲームかの判断が付かないレベル。

グラフィックに関しては、正直文句なしというのが率直な感想。

 

新コース「京都ドライビングパーク」の朝時間。朝焼けの空気感が見事に再現されている。

 

こちらは首都高をモチーフにした新コース「東京エクスプレスウェイ」。画像では分かり難いが、クルマやコースの質感やディティールが驚くべきほど進化。

おなじみの「ブランズハッチサーキット」。カメラワークも見事に。

 

車購入画面で流れるデモムービー。背景は実写画像で車は3D。これが写真の中を本物かのごとく動いていくシステムで目を疑う技術。
また世界各地の美麗な実写画像が数百枚収録されており、各ロケーションでクルマと合わせフォトを撮影可能。

 

UIについてもオシャレなデザインでハイセンス。

また各メーカーやクルマの歴史資料も画像や映像で多数収録されていますので、映像作品としての価値もあります。デモムービーを流しているだけでもまるで部屋がショールームのように。インテリアアイテムとしての価値もありそう。

ホーム画面。UI周りは大人びたオシャレなデザイン。中央にはデモ画像orデモムービーが常々流れ続け、まるでショールームかのよう。

 

2.”挙動”は癖が無くなり、本物のような楽しさが

旧来のグランツーリスモシリーズの”挙動”は、リアルではあったものの独特の癖があったこともあり、ネット上でよく叩かれていました。

今作『GTSPORT』では、挙動エンジンが大幅に一新されており、グランツーリスモならではの癖が良くも悪くも消えた印象です。

挙動については言葉で表現するのが難しいのですが、操作していて楽しい感じの挙動です。とくに荷重移動やブレーキの際の車体の動きが実車にかなり近づいており、細かな操作でもその動きを体感キャッチし易くなりました。その分、荷重を十分に掛けないとコーナーが曲がれなくなっています。FRやMRのスライド操作もシビアになっている印象。

収録車種を減らしたせいか、一つ一つの車種モデルの特徴もしっかりと再現されており一見の価値あり。特に車内視点にすると、人馬一体のような感覚に。駆動方式毎のキャラクターの違いもよりはっきりと出ていますね。

こういうと反感も買いそうですが、個人的には「レースシム」と同等かそれを越えたかの印象さえ受けます。それくらい今回の挙動は素晴らしい。

また、個人的にダート挙動がツボでした。GT6の時はダート・ラリーがややストレスでしたが、今回は本当に楽しいです。

 

3.”音”も大幅改善、もう掃除機とは呼ばせない

これまでのグランツーリスモシリーズは、”音”が少々欠点でした。「掃除機のような音」ともいわれ、色々叩かれていましたね。

本作『GTSPORT』では、音も各段に進化しています。各車種毎のエンジン音・排気音・過給機音などがはっきりと再現されており、本気にさせてくれる音です。

バックファイア音など、細かな音の表現もリアルです。

ただし減速時の「キキキー」というタイヤのスリック音は、GT6の頃と余り変わっておらず、ここはちょっと残念。

 

4.AIの進化と24台レース

GT6の頃のライバルカーのAIは、正直バカでした。
少し接戦になると怖気づいてアクセルを抜いたり、コーナーでは呆れるほどにスピードダウンしたりで、逆に危なっかしくバトルできる相手ではなかったですね。

『GTSPORT』では敵車AIもかなり見直されており、AI相手でも熱い接戦レースができるようになっています。
例えばスピンをするとそれ合わせて後方のAIカー達が絶妙にスローダウンしまてくれますし、一方でコーナーではブレーキング勝負を仕掛けてくる個性もあります。

それでも腕が上がると若干物足りなさはありますが、ビギナーであればかなり満足いく対戦相手になってくれるかと。

また今作では最大24台でレースが出来るようになったのも良い点。24台がもつれて連なっている景色は、現実のレースさながらの壮観です。

 

24台でのレースは、かつてない興奮を味わえる。AI同士のバトルも行われており、まるでサーキット全体が生きているかのよう。

 

5.「リバリーエディター」という嬉しいシステム

GTSPORTでは新機能として「リバリーエディター」と呼ばれる機能が採用されました。

これは『Forza Motorsport』のペイントシステムに似たもので、車に様々なデカールを施し外観をアレンジできる機能です。

画像自体も外部から取り込み可能なため、オリジナルデザインの一台を作ることができます。痛車のようなモデルを作る事も可能。こういったデザインする楽しみが新たに加わったのも本作の良い所。

BMWのMデザインや、往年モデルを模したデザインも自分で造ることが可能。
作ったカーリバリーはオンライン上で公開でき、評価を得られる。

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画像データを外部から取り込むこともでき、”痛車”のようなモデリングも可能。”景観”を重視していたグランツーリスモがよくぞ踏み切ったなと。

 

 

2.グランツーリスモSPORT評価、悪い部分について

続いて、『GTSPORT』の悪い部分やちょっと残念な部分について書いていきます。

1.収録車種数が少なくなった

本作GTSPORTでの収録車種数は約150台ほど。旧作にあったスタンダードカー(車内グラフィックの無いクルマ)は全て廃止。

レースカーも含めてこの台数なので、数として少々物足りなさを感じます。
また収録ラインアップはコンパクトカーやセダンモデルのような道行く市販車が減り、86やランエボのような世界的に有名なスポーツモデル、もしくは外車スーパーカー寄りになってきてるのも今作の特徴。

私はスーパーカーも好きで「ラ・フェラーリ」や「ポルシェ911」が収録された事は嬉しい限りなのですが、もう少し庶民的なクルマで遊びたい人には少々物足りないのかなと。

ただし今後アップデートやDLCで車種は追加されていくでしょうし、数を減らしたことで1台1台のモデリングや挙動が突き詰められているのは評価すべき点かと。

 

2.コース数もやや減少

本作の収録コースは18ロケーション、28レイアウトとなりやや減少しています。ただグランツーリスモにおいてはコースが多ければ良いというわけでもないので、ここはあまり問題視する点でも無い気はしますが。

とはいえ「筑波サーキット」や「スパフランコルシャン」が消えたのは痛かった。今後追加DLCでお願いします。

 

3.パーツが減り、カスタマイズ要素がやや簡素に

本作では最初から各種パーツを購入している状態になり、初めからフルカスタマイズのセッティングが可能です。

例えばタイヤもコンフォートからレーシングまで好きなモノが選べますし、LSDやサスペンションも最初からフルカスタマイズ可能です。この点は面倒くさくなくて良いかと。

ただしブレーキパット・フライホイール・プロペラシャフトなど旧来にあった細かい自動車パーツの存在が消えています。例えばフライホイールだけ交換したちょこっとチューンのクルマで遊ぶようなことが出来なくなりました。

愛車への愛着がやや薄れる感じもあり、人によっては少々不満があるかと。

 

 

4.オンライン、Eスポーツ寄りのゲームデザインに

最も特筆すべき点。
本作はオンライン・Eスポーツ寄りのゲームデザインとなっています。

『GTSPORT』はオフラインでシングルレースも楽しめますが(※ただし後述する通りオンライン環境は基本必須)、メインの舞台はオンライン。通称「スポーツモード」というモノです。そしてこのシステムが独特です。

スポーツモードでは、日々「デイリーレース」が開催され、レベルの近い不特定な相手とマッチンングをしオンラインレースを戦っていきます。レースの際のマナーに応じて変動する「スポーツマンシップレーティング(SR)」、レースの戦績に応じて変動する「ドライバーレーティング(DR)」という2つのランクポイントがあり、これらのポイントを稼ぎながら進めていくシステムです。

これとは別に従来のようにオンラインロビーも用意されており、自由にオンライン部屋を立て好きな相手とオンレースを楽しむことはできます。

スポーツモードは強制ではなく、シングルモードで一人で遊んだりロビーで自由にオンラインを楽しむこと勿論出来ますが、やはり全体的にスポーツモード重視な感じがあります。暗黙の了解で。「オフラインもいいけど、腕を磨いてスポーツモードの本格的なレースを楽しんでね」的な。

カーライフよりも、ドライビングテクニック重視、リアルレース重視な感じゲーム全体にあります。

私はグランツーリスモで速さも追及していますのでむしろこれは良かったとも思っていますが、もっとまったりとした草レース的な遊び方を自由に楽しみたいプレイヤーも多いでしょう。

そういったプレイヤーの方々にとって本作は、車種数コース数の削減も含め、自由が狭まりやや面白くない仕様となっているのかなと。

スポーツモードの「デイリーレース」。毎日何度も開催されている。エントリー~タイムアタック~本レースの流れとなる本格的な仕様。

従来のロビー型のオンライン部屋も。ただし今は発売間もないこともあり、みんなスポーツモードに熱中しているのかやや過疎気味。(ただそれでも他のレースゲームから比べればかなり人はいます)

※追記
最近オンラインロビーの方が活性化してきた印象も。スポーツモードの熱がひと段落した?

 

5.ネット環境が必須である

最後に忘れてはならないのが『GTSPORT』はオンライン環境が必須であること。
一応シングルレースであればネット環境が無くともプレイできますが、セーブができません。クルマの購入やフォト機能などの各種機能もほぼすべて使えなくなる仕様。

つまりオンラインレースをしなくともゲームを普通に進める上でネット環境が事実上必須となります。自宅にネット回線を引いていない家もまだまだあるかと思いますので、この点が無駄に敷居を上げてしまっている一つの要因かと。

販売店で買う際にはオンライン必須であることを説明してくれるため間違いは起きませんが、ネット通販などで知らずに買ってしまうと不満の種になりそうです。

 

3.総評

このように『GTSRORT』はオンラインのシステムがやや独特で、それが自由を奪っている部分もあります。

しかし、グラフィックや挙動は各段に進化しており、驚くほどリアルなドライビング体験がゲームの中で体感できます。ハンコン+VRまで使えば、もう現実のクルマはいらないんじゃないかと思うほどの感想。

クルマの運転を楽しみたい、とにかくリアルを体感したいといった方には、現状この上ないPS4のレースゲームであり、一見の価値は確実にあるかと思います。

そして「グランツーリスモ」というのは、昔から自分で楽しみを見つけていくゲームでもありました。決められた流れに沿うのではなく。

今作は車種数は少なくなったものの、変わりにこの上ないグラフィックと挙動の世界で、一つのクルマで必死に走り込む楽しみ方もできます。オンラインロビーで気の合う仲間を見つけ、自分たちのルールで楽しむこともできます。

「スポーツモード」が主流であるからといっても、結局のところは自分がどう遊ぶかが一番大切かと。

ボリュームのあったGT6でも、直ぐに投げ出す人もいれば一つの車種で遊び尽くす人もいましたよね。

結局のところ遊び方を知っている人、自分で楽しみ方を見つけられる人であれば、今作も満足いく作品なのではないかと思います。

といった感じの総評となりました。

まとめ

当サイトはGTSPORTの広告も貼っているので、本来であればベタ褒めレビューすべきです。実際そういう記事も多いですね。

ただし今作はややシステムが独特であり、また私自身グランツーリスモのファンであることもあり、誤解を生ませないためにも、良い点・悪い点も含めやや辛口に評価レビューさせて頂きました。

書いていて思いましたが今作の評価は本当に難しいです。人によって受け取り方や感想がかなり変わる作品かと。

それを踏まえた上で、気になっている方はぜひ自分の目で確かめて判断してみてください。

関連:
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