科学アドベンチャーシリーズの第２弾として、2009年にXbox 360向けに発売されたアドベンチャーゲーム『シュタインズ・ゲート』。

入り組んだ先の読めないシナリオが口コミで話題となり、のちにPS3/PC/スマートフォン等々様々なハードに移植。アニメ化もされこちらも人気となりました。

さて本作は比較的有名な作品ではありますが、世間一般的にはまだまだ知らない方も多いかと。また気になってはいてもなかなか入り難い作品でもあるかと。

そこで本記事では、今改めて未プレイの方に向け『シュタインズ・ゲート』の全体的な特徴や魅力について一通り解説していきます。

※本編の直接的なネタバレは無しです。

想定科学アドベンチャー『シュタインズ・ゲート』とは

タイトル：シュタインズ・ゲート/Steins;Gate
製作/販売：MAGES. (5pb.)
発売：2009年10月15日
対象機器：Xbox 360
移植：PS3、PSP、PSVita、PC（Windows）、iOS。
※ 「シュタインズゲート　エリート版」はPS4/PSVita/Switch。
ジャンル：アドベンチャー

『カオスヘッド（CHAOS;HEAD）』に続く、科学アドベンチャーシリーズの第二弾。タイムトラベル方法を発見してしまった若者たちの行方を、背後に絡む陰謀と共に描く。

ファミ通アワード2009の優秀賞受賞作品。アニメ版は、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門/長編の審査委員会推薦作品に選出。その他、数々のゲームメディアにて高い評価を得る。

あらすじ
2010年、東京　秋葉原。

東京電機大学に通う「岡部 倫太郎」は、発明サークル「未来ガジェット研究所」を創設。スーパーハッカーを名乗る同級生「橋田 至」、幼なじみの「椎名 まゆり」と共に、日々へんてこな研究を行っていた。

真夏のある日、岡部は「秋葉原ラジオ会館」で開催されたタイムマシンに関する講演に出向く。その際、若き天才科学者「牧瀬紅莉栖」が殺害されている姿を目撃。慌ててその事実を仲間にメールする岡部であったが、メール送信直後に時間が停止し、その事実が無かったこととなる。

「過去に制作したへんてこな携帯電話」、「落下した人口衛生」、「2000年に登場しなかったジョン・タイター」、「SERN（欧州原子核研究機構）が行った実験」。

一つのメールが、時間をめぐる壮大な争いに発展していく。

プロモーションムービー

で、どんなゲームなの？

本作は、「タイムトラベル」を題材にしたアドベンチャーゲームとなる。

ベースは若者たちの日常的な群像劇となるが（ややコメディ色が強くネタ多め）、そこにタイムトラベル・タイムパラドックス・並行世界・相対性理論・脳科学などの様々な科学・SF要素を詰め込んだ作品。かつ、陰謀論やオカルト、ミステリー・サスペンス要素も交えており、スリリングな物語が展開していく。

「SERN」、「IBN5100型パソコン」、タイムトラベラー「ジョンタイター」など、現実にも実在するネタを交えているのも面白い部分。

タイムトラベル物は、遠い昔の過去や遙か先の未来を旅する壮大な話が多いが、『シュタインズ・ゲート』はそうではなくもっと狭くミクロな範囲でのタイムトラベルを描いた作品。ごく限られた期間、ごく限られた人間関係の中で起こる事件に焦点を当てている。かつそれによって引き起こされる世界レべルのバタフライ効果が描かれる。例を挙げると、2004年に公開された洋画『バタフライ・エフェクト』と似た形式の作品。

また本作は、広がりながらもループを繰り返す構成となっており、先の読めない作り込まれた展開も見どころ。各著名人も絶賛している通り、シナリオとして一見の価値あり。

「バタフライ効果/バタフライエフェクト」 とは？

カオス理論（カオス力学）の一つ。
「蝶々（バタフライ）が羽ばたく際に起こる小さな風が、いずれ遠くの地でハリケーンとなる」といった考え方。タイムトラベル物で題材として扱われることが多い。

『シュタインズ・ゲート』では様々な形のバラフライ効果が描かれる。

「世界線」とは？

本来の意味としては、「相対性理論」などで提唱される概念の一つ。時空の中を粒子（物体）が動いていく軌跡を指す。

『シュタインズ・ゲート』においては、過去から未来へまでの世界の流れ・歴史を示したもの。それを線状にして表したものを「世界線」としている。タイムトラベルで時間に介入し過去の歴史が変わると、世界線が分岐し、新たな世界線として再構築される設定。

面白いのは、心を揺さぶってくるところ

※若干ですが、描き方に関するネタバレが入ります。（具体的には触れません。）

『シュタインズ・ゲート』の面白いのは、マニアックな設定や構成だけでなく、人間ドラマとして気持ちを揺ぶってくるところ。

「無邪気な子供の頃にもう一度戻ってみたい。」

おそらく誰もが一度はそんなことを空想したことがあるかと。さて、もしも本当に過去にタイムトラベル（タイムリープ）し、小さい頃の自分に戻れるとしたら？

そこには、若き日の父と母に包まれ、自由で優しい子供時代が待っているかもしれない。がそうなると、それまでに関わってきた人々との記憶は消えてなくなる。友人・恋人・族と交流した事実、経験した事実は消えてなくなる。記憶には残っていても。

『シュタインズ・ゲート』では、そのような消えてしまった事実にスポットをあてたドラマが描かれている。（もちろん子供の頃に戻る話ではないのだけれど）。消えた事実に対する心の葛藤、またそれを天秤に掛けるような話を人間臭さ全開で描かれていたのが面白いところ。序盤のオタクネタ満載のコメディから、そういったシリアスに流すのも不意打ち。

単にマニアックなSF要素で「発想スゲー」な話だけでなく、魅力的なキャラと生臭い人間ドラマで突き刺してくるあたりも、この作品が評価されている理由なんじゃないかなと感じた。

そんなアドベンチャーゲームが、シュタインズゲート。

ゲームシステムについて

本作はアドベンチャーゲームとなります。

【システムの具体的な特徴】
・基本的には一般的なアドベンチャーゲームのシステム。セリフを読み、選択肢を選び、物語を進めていく。
・携帯電話を使い、システム操作や分岐選択を進めていく独自システムがある。（操作は難しくはなく、すぐに慣れる。）
・背景絵やキャラは２D。
・セリフはフルボイス。
・1～11章までのパートに分かれる。
・マルチエンディング。
・クリアまでのプレイ時間は、概ね40時間～50時間のボリューム。

基本的には特に癖もない一般的なアドベンチャーゲームの造りですので、初心者でもプレイし易いかと。ただし最終的なトゥルーエンドに行き着くまでの分岐がやたらと難易度高め。自力で行き着くのは厳しく、攻略サイトを利用すうることになるかと。

本作の独自要素として、携帯電話を使いストーリーを進めていく。（むずかしくはなく、直ぐに慣れる。）

ゲーム版とアニメ版の違い

※アニメ版のPVです。

『シュタインズ・ゲート』はアニメ・マンガへのメディアミックスが行われました。アニメ版は2011年に独立UHF局ほかAT-Xで放送。全24話。

ゲームとアニメの大筋はほぼ同じで、ゲーム版のトゥルーエンドにあたる話をアニメ版で描いています。ただしアニメ版は間にある細かなエピソードを省かれています。かつ一部可変されている部分もアリ。ゲーム版ではアニメ以上にショッキングなエピソードがあるのですが、アニメ版では上手く省かれ纏められています。

結末は同じだけれど、経緯の部分で少々差がある感じですね。シュタインズゲートで描かれたストーリーを完璧に把握・考察したい方は、やはりゲーム版をプレイする必要があります。

以降、映像作品の関連作について。

劇場版 シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ

2013年に角川映画作品として全国劇場公開。ゲーム版・アニメ版のトゥルーエンドとなる「SG世界線」の後を描いた作品。

すべてが解決し平穏な生活をおくる岡部であったが、別の世界線の記憶が入り乱れ始める。ある日岡部は、0.000001%ずれた「R世界線」に飛ばされてしまう。

Amazonプライムで視聴可能

アニメ続編『シュタインズ・ゲート　ゼロ』

2018年4月よりTOKYO MX他各局より放送される、新たなアニメ版シリーズ。

内容は、2015年に発売された続編ゲーム『シュタインズ・ゲート　ゼロ』をベースにアニメ化したもの。牧瀬紅莉栖を救えなかった「β世界線」を舞台に、岡部やラボメンたちの行方を描く。

こちらもゲーム版とはキャラクターデザインが少々異なる。内容については、現在放送中のためなんとも言えないが、ゲーム版をベースとしつつ若干アレンジされている可能性がある。

『シュタインズ・ゲート』シリーズ、ゲーム各6作品紹介

シュタインズ・ゲートは、関連作を含め計6本のゲームソフトが発売されています。各タイトルの内容を解説。

１．シュタインズ・ゲート

シリーズのベース、第一作にあたる作品。一般的に『シュタインズ・ゲート』と言えばこの作品を指す。タイムトラベルに関与してしまった岡部たちの行方を描く。ここまで解説してきた内容はこの作品に該当する。
2009年に発売され、のちにPS3/PSP/PSVita/PC（Windows）/iOSに移植。

なお、本作は次の方法で購入することも可能。
①後述する『シュタインズ・ゲート　エリート』でアニメ作画に改良されたバージョンの本作がプレイできる。
②後述する『シュタインズ・ゲート　ゼロ』の初回限定版に同封されている特典コードで、本作をプレイできる。

【Xbox360版　シュタインズ・ゲート】

【PS3版　シュタインズ・ゲート】

２．シュタインズ・ゲート　エリート

改良版となる「エリート」。
ストーリー自体は変わらないが、本編をアニメの映像で再構築し、映像と共に遊べる。（アニメ版で削除されたシナリオについては、アニメーションを追加で新規作成。）アニメ版の作画が気に入ってる方や、ヌルヌルと動く画面でプレイたい方はこちらがおすすめ。
2018年発売予定。対象機器はPS4/PSVita/任天堂Switch。

※さらに初回特典として、後述する『シュタインズ・ゲート　線形拘束のフェノグラム』のPS4HDリマスター版がダウンロードできる。

【PS4版　シュタインズ・ゲート　エリート】

【Switch版　シュタインズ・ゲート　エリート】

３．シュタインズ・ゲート　ゼロ

正式な続編にあたるタイトル。
『シュタインズ・ゲート』のラストから派生するifストーリーとなり、「β世界線」で岡部が牧瀬紅莉栖を救うことを諦めた場合の、その後が描かれる。
後述もする通り他にもスピンオフ作品はいくつか作られているが、本作はスピンオフの中でも正式な続編ポジションとなるタイトル。
2015年発売。対象機器は、PS3/PS4/PSVita。
2018年にアニメ化。TOKYO MX他各局で絶賛放送中。

【PS4版　シュタインズ・ゲート　ゼロ】

４．シュタインズ・ゲート　比翼恋理のだーりん

スピンオフ作品の一つ。
こちらはシュタインズ・ゲートのキャラクターを題材にしたギャルゲーとなる。世界線変動率３％台「δ世界線」。「あったかもしれない　ラボメンたちとの物語」と題し、牧瀬紅莉栖を始め各ラボメン女性メンバーたちとの恋愛話が描かれる。シリアス展開は省かれ、恋愛＆コメディ色強め。キャラが好きな人向け。
2011年にXbox 360向けに発売。その後PSP/PSVita/iOSに移植。

【PSVita版　シュタインズ・ゲート　比翼恋理のだーりん】

５．シュタインズ・ゲート　 変移空間のオクテット

スピンオフ作品の一つ。
「シュタインズゲートを8ビットパソコンPC-88で再現したら？」がコンセプト。レトロな8ビット風 で全編が描かれる。世界線変動率「1.048596」。”萌え”によって世界崩壊に向かう異常な世界線で新たなifストーリーが展開する。2011年発売。対象機器はPC（Windows)のみ。

【PC版　シュタインズ・ゲート　変移空間のオクテット】

６．シュタインズ・ゲート　線形拘束のフェノグラム

スピンオフ作品の一つ。
本作はオムニバス形式のスピンオフ作品となり、岡部倫太郎を含めたラボメン8名全員のショートストーリーが計10本描かれる。こちらもifの世界線での話とる。
2013年にPS3/Xbox360向けに発売。のにちPSVitaに移植。

※なお前述した『シュタインズ・ゲート　エリート』の初回特典として、本作を無料ダウンロードできる。

【PSVita版　シュタインズ・ゲート　線形拘束のフェノグラム】

まとめ：タイムトラベル系の作品としては傑作

個人的にタイムトラベル系のSF物は好きで、これまでも映画・アニメ問わず色々と見てきましたが、『シュタインズ・ゲート』はその中でもトップクラスの面白さを感じます。

上でも少し書きましたが、シュタインズゲートは話の構成が面白いだけでなく、タイムトラベル物では二の次になり易いドラマ部分がしっかりと描かれていたのが良かったです。

オタクっぽい作品なので敬遠している方もいると思いますが、これは騙されたと思ってプレイして貰いたいです。たぶん騙されることはなんじゃなかと。世界は騙すことになりますが。

シュタインズ・ゲートはこんな人におすすめ！
・入り組んだストーリーを楽しみたい人
・先の読めないストーリーを楽しみたい人
・タイムトラベルやSFが好きな人
・オカルトやミステリーが好きな人
・不意打ちのようなグッとくる感動を味わいたい人
・面白いキャラの多いゲームを楽しみたい人
・アドベンチャーゲームが好きな人
など

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