記事公開日:2017年5月31日
最終更新日:2018年4月4日

どう仕事する?

5名の実例から学ぶ、プロのカーレーサーになるには?

クルマ好きであれば誰もが一度は憧れるであろう「カーレーサー」。実は今でもカーレーサーが夢で憧れている方もいるのでは。

しかしネット上で「カーレーサーになるには」、「カーレーサーになる方法」などを検索すると、

・年齢が若くなくてはだめ
・子供や10代の頃からカートなどの英才教育をしなければならない
・莫大なお金や財産が必要
・卓越したテクニックを持つ、一部の限られた人でしかなれない

などなど色々厳しく現実的な内容で突き返されます。

本当にそうなのでしょうか?

この記事では、現在活躍しているプロカーレーサーたちの実例をモデルケースとして交えながら、カーレーサーになるためのルートの可能性を特集していきます。

 

1.プロのカーレーサーになるための黄金パターン、中嶋大祐(28)モデル


http://photozou.jp/photo/show/2745511/179089981

まず世間で言われている一般論について。

プロのカーレーサーになるためには、
幼少の頃からカート経験を積み、10代のうちに数百万の費用が掛かる「レーシングスクール」に入校、その後20代前半のうちには「全日本F3選手権」など登竜門となるレースで、成績を収めておくのが理想と言われています。

黄金パターンとしては、若手プロレーサーの中嶋大祐選手が良い例。

中嶋大祐選手(28)は、元F1ドライバーの「中嶋悟」を父にもつサラブレット。幼少の頃よりカート経験を積み、15歳では「全日本カート選手権」で活躍しており、18歳で鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)に入校。
その後、「全日本F3選手権」などを経て、20代前半で「SUPER GT(全日本GT選手権)500クラス」まで登っています。しかも彼の場合、並行して青山学院大学も卒業。

まさに非のつけがたい経歴で、プロレーサーになるための理想的なルートです。

とはいえ、誰でもがこうはいかないもの。実際は他のルートからプロレーサーになった方は沢山いるようです。

2.漫画『頭文字D』に影響され、裕福でなくとも自力でレーサーになった千代勝正選手(30)


http://www.f1-stinger.com/stinger_village/hassy/2015/12/post-14.php

「千代勝正」選手(30)は、現在、SUPER GT・500クラスなどで活躍する有名若手プロレーサーのひとり。一見は爽やかイケメンの若手レーサーですが、彼は完全に叩き上げ組。

千代勝正選手は、もともと小学生の時に読んだ漫画『頭文字D』に影響され車に目覚め、カーレーサーを志したとのこと。しかし親はレースに何の関心もない人物で、家も特別裕福な家庭でもなかったようです。

そこで彼は、通っていた高校を辞め夜間高校に転校し、昼にバイトに励みカートレースの費用を捻出しています。その後、バイトでお金を稼ぎつつカートレースで地道に功績を残し、自らスポンサーを探すなどして、プロレーサーの世界に入り込みます。

その後、20代中盤で「SUPER GT・GT300クラス」に出場し、今現在は500クラスや「ドバイ24時間」など海外の国際レースでも活躍しています。

参考:オートックワン「あなたの愛車教えてください!千代勝正」
http://autoc-one.jp/nissan/skyline/special-977728/

 

3.レースクイーンを経て25歳でデビュー、「ル・マン24時間」にまで出場する井原慶子(43)

https://ameblo.jp/iharakeiko/

井原慶子選手(43)は、WEC世界耐久選手権、ドバイ耐久、ル・マン24時間耐久など、世界各国の有名国際レースで活躍する女性プロドライバー。
2012年に「日本人女性としてル・マン初完走したドライバー」としてもさらに有名に。

彼女は、もともとは法政大学経済学部に通う普通の女子大生でした。その間、モデル業の一環でレースクイーンの仕事に携わり、レース現場に出向いた際に「これは私のほうが速く走れるわ」と謎の自信をもち、レースに目覚めたとのこと。

それまで普通免許すら持っていなかったようですが、直ぐに免許取得し、20代前半ごろから自動車レースに励み始めます。そして25歳の時に遅咲きのプロデビュー。

彼女の場合はここからも更に特殊で、その後海外に”武者修行”に出向き、「フェラーリチャレンジ」、「フランスF3」など欧州のプロレースで功績を収めステップアップしています。

結果的に、今現在43歳でしかも女性であるのに関わらず、世界各国の有名国際レースに参戦し、輝かしい成績を残しています。しかも耐久レースが多いのがすごい。

参考:アースインタビュー「国際レーシングドライバー 井原慶子」
http://www.earthtimes.jp/interview_ihara01.php

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4.峠の「ドリフト」族からル・マンまで腕一本で上り詰めた土屋圭市(61)、実は19歳から

photo  :https://www.webcartop.jp/2016/03/38082

「ドリキン」の愛称でおなじみの、元有名カーレーサー土屋圭市氏。

彼の場合は、カートレースの経験もなくレーシングスクールにも通わず、いち峠の走り屋からプロレーサーになっています。20代はフレッシュマンレース等のビギナークラスで活躍、30代はJSSやJGTCなどの国内ハコ車レースで活躍、その後40代ではル・マン24時間レース、50代でもスーパーGT500クラスに参戦する輝かしい経歴の持ち主です。

また”ドリフト走行”の第一人者としても有名で、「D1グランプリ(全日本プロドリフト選手権)」には提案者・審査員であると同時に、選手としても参戦しています。

そんな土屋圭市さんですが、実際に4輪の走りに目覚めたのは意外と遅く19歳からだったようです。18歳で免許を取り、その後1年間程度はドレスアップや車ナンパを楽しむ、なんちゃって車好きだったようです。
19歳のある日に走りに目覚め、その後まもなくして「碓氷峠最速」にまで上り詰め、21歳でプロデビューを果たします。

とはいってもレース界では直ぐには芽は出ず、お金も無かったため、20代の頃は会社員をする傍らビギナーレースに出場し地道にキャリアアップを図っていたとのこと。29歳で出場した「富士フレッシュマンレース」にてトヨタ・AE86で圧勝を記録し、そこが起点となりプロの世界に本格的に羽ばたけたようです。

また、土屋圭市さんの場合、人並み外れた天性のドライビングテクニックがあるイメージが強いですが、実際はそうではなく、生活のすべてをドライビングの練習に注ぎ込むほどの、人並み外れた努力の積み重ねの結晶だったようです。

参考:『おぎやはぎの愛車遍歴』 土屋圭市回

 

5.23歳のゲーマー学生がル・マンにまで、「GTアカデミー」とルーカス・オルドネス(32)

photo  :http://www.gran-turismo.com/jp/academy/graduates/lucas/

「GTアカデミー」とは、プレステーションの人気レースゲーム『グランツーリスモ』と日産自動車が提供するレーサー養成プログラム。

『グランツーリスモ』のシステムを用いたタイムアタックイベントがゲーム内で開催され、そのうちの上位数名が”実車”を用いた選考プログラムに参加でき、最終的に残った一人が、日産自動車のバックアップのもとレース界にデビューできるというのも。

年齢制限等も無く、その後の莫大なレース資金やキャリアも日産がバックアップしてくれるため、ゲームさえ上手ければだれもがプロレーサーになれる可能性がある夢のプログラムです。

ルーカス・オルドネス選手(32)は、このGTアカデミーが初開催された2008年の初代チャンピオン。ルーカス選手は当時23歳で大学生でしたが、長年憧れていたレーシングドライバーの夢が捨て切れなかったとのこと。そこで最後のチャンスとしてこのゲームに掛け、ヨーロッパ10カ国2万5,000人の中の見事トップに輝きます。

その後、晴れてGTアカデミーを卒業し、日産のバックアップのもとプロの世界に。「FIA GT4カップ」、「ニュルブルクリンク24時間」、「ドバイ24時間」、「スーパーGT500クラス」、そして「 ル・マン24時間」まで数々の国際レースで活躍し、今現在も第一線で活躍しています。

なお「GTアカデミー」は例年、世界各国で開催されています。日本においては2015年にアジア大会として、初めて参加国に選ばれました。今後も日本で開催される可能性もあるため、GTアカデミーも日本でレーサーになるための一つの選択肢となってくるでしょう。

参考:GTアカデミー ルーカス・オルドネス
http://www.gran-turismo.com/jp/academy/graduates/lucas/

 

まとめ

今回紹介したように、お金が無くとも、始める年齢が遅くてもプロのカーレーサーとして活躍している方はおり事実です。他にもまだまだ実例はあるでしょう。

とはいえこれらは表に上がっている一部の成功例であり、その影ではプロレーサーになれず夢半ばに散っていった方が沢山にいるのも事実かと。

それをどう捉えるかは、自分次第といったところでしょうか。

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