記事公開日:2017年10月17日
最終更新日:2020年5月4日

アニメ

命の重さとは、鬱アニメ『機動戦士Vガンダム』を見てみた、感想評価レビュー

私はガンダムについてはさほど詳しくないのですが、現在シリーズ化中の『機動戦士ガンダム オリジン(ORIZIN)』が面白かったため、やや傾向の似ている大人向けのガンダムと言われている、この『機動戦士Vガンダム』をこの度観てみました。

子どもの頃も少しテレビで観ていましたが、たしか途中でやめた記憶です。

さて本作は”鬱アニメ”や”トラウマアニメ”としても有名な作品。
ガンダム素人目からみて、このアニメにどんな印象を受けたかの感想評価レビューを書いていきます。

※Vガンダムのネタバレをやや含みます。(ただし具体的には触れません)

機動戦士Vガンダムとは?

まず簡単にですが、Vガンダムの作品紹介を。


機動戦士Vガンダムとは?

『機動戦士Vガンダム』は、1993年~1994年にテレビ朝日系列で放映されていたTVアニメ。ガンダムのTVシリーズとしては、1986年に放映された『機動戦士ZZガンダム』に次ぐ第4シリーズ。

時は、宇宙世紀0153年。
サイド2を拠点とする「ザンスカール帝国」は、ギロチンを使った恐怖政治で宇宙と地球の人類の支配を目論んでいた。地球連邦政府にはかつての力は無く、反帝国レジスタンス組織「リガ・ミリティア」が各地でザンスカール帝国に抵抗を進めていた。が、兵力は足らず。

そんな中、穏やかだった田舎街「カサレリア」に住む13歳の少年ウッソ・エヴィンが、とあるきっかけでモビルスーツに乗り込むことに。卓越したパイロット能力を持っていたウッソは少年兵として軍に迎えられることになり、新開発のモビルスーツ「Vガンダム(ビクトリーガンダム)」を与えられることに。

ウッソやシャクティなど戦いに巻き込まれる少年少女の視点から、ザンスカール帝国と地球連邦軍の戦争の行方を無残に儚く描いたアニメ作品。

参考:Vガンダム オープニング動画(結構なOP詐欺ですが・・)

子供の頃にみたVガンダムの思い出感想

余談から入ります。

このVガンダムは、私が小学校低学年の時に放送されていたアニメでした。当時は「SDガンダム」や「BB戦士」などのプラモデルが友達の間で流行っていたため、おもちゃとしてのガンダム自体は知っていました。が、肝心のガンダムのストーリーの方は全く知らなかった状態。

それで生まれて初めてガンダムを”作品”としてみたのがこのVガンダムでした。たしか夕方放送されていたので、子供にも見やすい時間でしたしね。同世代の方であればおなじような感じの人が多いんじゃないかと。

そんな感じでしたが、話は正直あんまり記憶はないです。やたら変形するので「Vガンダムってかっこいいなー」と子供ながらに思いVガンダム関連のプラモデルも沢山買っていましたが、話自体は全く覚えてないです。たしか半分くらいで観るのを辞めた記憶。
「鬱アニメ」と言われていますが、当時そんな印象もあまりなかったですね。多分まともに観てなかったというか、子供だったのであまり理解できなかったのかと。

「ガンダムって戦争のアニメなのか、何やってるかよくわからない」、「もっとカッコいいロボット出して~、派手に戦って~」的な感想で、結局なんだか分からない戦いばかり続き、飽きてて観るのを辞めてしまった記憶です。そんな感じの思い出です。それでもOP曲はなんだか印象的で頭に残ってましたが。

おそらく子供目線で観ると、こんな感じの作品です。

20年越しに観たVガンダム、本当に鬱アニメなのか?

※ここからは若干、Vガンダム本編のネタバレが入った感想評価レビューとなります。

そんな経緯があったのですが、今回『ガンダム オリジン』が面白かったため、約20年越しにこのVガンダムを再び観てみました。

最終話まで観た感想としては、まあ鬱で酷い話でした。とにかくこのVガンダムは人が死んでいく。主要キャラクターであろうと容赦なく次々と人が死んでいきます。
ギロチンや「ジブラルタル攻防」など、子供向けアニメの割りにはグロテスクなシーンが多いとも言われていますが、表現・描写についてはそこまで刺激的では無い感じです。

しかし問題なのは、命が余りに軽く、命の扱い方が無残すぎること。

人口が増え過ぎた「宇宙世紀」では、人の命が軽視されている背景があるようですが、それにしてもこれは余りに酷い話かと。私は映画好きで、洋画邦画ともに沢山の映画を観てきましたが、なかなかここまで平気で殺していく作品は、実写・アニメ問わず少ないです。

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たとえば本格派のシリアス系戦争映画でも、どこかご都合展開の様なものがあり、ある程度の救いは用意されています。しかしこのVガンダムは本当に容赦ない。救いの予定調和の様なモノはほぼ無く、逆に言えば死亡フラグ的な予定調和のオンパレードアニメでしたね。

しかも、それを隙をみて繰り出してくるのがヤバい。
日常パートはまるでジブリアニメかの如く平和です。子供達が主人公という事もあり、やんちゃなコメディシーンや微笑ましい恋愛話などもあります。が、突如急に戦争が入り込んできて、バッタバッタと死が入り込んでくる。親子の背景エピソードや、敵兵側のエピソードも交えてくるため、なかなかに無残です。「ここまでやるのか・・」と思える流れも多数。

終盤は特に酷く、観ていて心苦しくなるアニメでした。ホント容赦なし。ガンダム作品でもここまで人を殺していく作品は少ないハズです。

怖いのは、人の死が当たり前に、命を天秤にかけること

このVガンダム、本当に怖いのは人の死が少しづつ当たり前になっていくところ。主人公のウッソも、初めて相手のパイロットを殺してしまった時、嘆き悔やむのですが徐々にそれが当たり前になっていくのです。さらにはいつの間にか「立ち向かってくる奴は殺しても止む負えない」ルールになり、終盤はもう躊躇なく殺していたシーンもありました。

また交流のある”近い”の人の命を重視し、影の薄いモブキャラなどの”遠い”命は虫けらのように捉えるシーンも。ウッソに限らず、全体的に命の重さを天秤にかけているんですよね。観ている視聴者側も、段々とそれが当たり前になっていく感もあります。

これは、Vガンダムのテーマになっている”戦争”自体にも言えること。本作でも、ザンスカール帝国は自分たちの理念や自分たちの周囲を守るために、それに反する多くの命を犠牲にさせます。連邦軍においても同じこと。中には若い命を守るため、自身と敵軍の命を犠牲に特攻をかける者も多数。

近い命を守り、己の正義を貫き、遠い命を犠牲にする。ガンダムシリーズでよく使わられる”エゴ”というものが、本当に生々しく無残に描かれた作品でした。

全然話は変わりますが、現実で私たちもハエやクモなど小さな虫などは、たとえ害がなくても平気で殺しますよね。なんだか人間のそういった部分を、考えさせるような作品でもありました。押し付けのような表現はありませんが、命について特に考えさせられるアニメでした。

ラストはあれでよかったのか?

ネタバレになるので詳しく書きませんが、ラストは消化不良でした。

ラストは解釈が難しいですが、結局なにも解決していないような。
物語冒頭で語っていたとおり、ウッソもシャクティも戦争に巻き込まれなかった方が幸せだった気もします。少し前には進んだのかもしれませんが。

まとめ

こんな感じでVガンダムは、なかなかに重く鬱なアニメでした。

私は今回、”中身”を求めて観たので、良くも悪くも楽しめましたが、モビルスーツ同士の戦闘やロボットアクション等を求めて観るとあまり楽しめない作品なんじゃないかなと思います。
どちらかというとガンダムオリジンのような大人向けのガンダムに分類されるかと。

こんなアニメが当時子供向けに夕方放送されていたのが改めて驚き。今なら即深夜枠行きでしょうね(笑)

もし私のように当時子供で、あんまり良く分からなかった、面白くなかったと感じた方でも、再び観てみると楽しめるかもしれません。ただ・・如何せん話数が長い。途中ダレる所もあるので、長期戦覚悟でマイペースで観ていくのがよいかと。

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こちらはVガンダムと似た傾向の『機動戦士0080 ポケットの中の戦争』の感想レビュー↓Vガンダムよりさらに狭い人間関係にスポットを当てた作品です。
考えさせられる大人向けのアニメ『0080 ポケットの中の戦争』紹介・感想・評価

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