記事公開日:2021年1月24日
最終更新日:2021年3月14日

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【TN、IPS、VA、有機EL】「液晶パネル」の違いとメリット・デメリット

テレビ、スマホ、タブレットなど、さまざまな電化製品に用いられている「液晶パネル」。

液晶パネルには大きく4つの種類があり、TN、IPS、VA、有機ELに分類されます。各パネルで、映像の映り方が違うため、商品を選ぶ際にはパネルに注意を払うことも大切。

本記事では、それぞれのパネルの違いやメリット・デメリットを解説します。

1.TNパネル

TNパネルは、パソコンモニターなどに用いられることが多く、歴史も古いパネルです。TN=(Twisted Nematic)を意味します。

TNパネルのメリット:
・価格(コスト)が安い
・応答速度が速い

TNパネルのデメリット:
・視野角が狭い
・発色、色の表現に弱い


TNパネルの一番のメリットは応答速度が速いことであり、その多くは0.1~1ms程度です。

そのため画面の遅延が少なく、マウスカーソルの遅延ラグなどを抑えられます。格闘ゲームやシューティングゲームなど、コンマ1秒の操作が求められるゲームに強みを持ちます。

ただし視野角が狭く、発色もあまりよくないため、映像の明るさや鮮やかさの面では弱いです。綺麗な映像を楽しむには向きません。

用途としては、PCモニターとしてオフィス作業や、ゲーミングPCなどに使うのが適しています。

TNパネルのノートパソコン。応答速度は速いが、視野角が狭く斜めからみると暗くみえる。


TNパネルのPCモニター↓

 

2.VAパネル

VAパネルは、安価なことから液晶テレビ市場において近年主流となっているパネルです。

東芝、シャープ、SONYなど国内大手メーカーもこぞってVAパネルの最新テレビを多数ラインアップしています。VA=Vertical Alignmentを意味します。

VAパネルのメリット:
・価格が安い(ただしTNパネルよりは高い)
・黒の表現に強い、コントラストに優れる
・液晶寿命が長め


VAパネルのデメリット:
・視野角が狭い(ただしTNパネルよりは広い)
・発色、色の表現に弱い(ただしTNパネルよりは良い)
・応答速度が遅い

VAパネルの最大のメリットは、「黒」の表現に強いことです。

そのためコントラスト(明るい部分と暗い部分の差)をはっきりと付けることができ、黒の引き締まった高級感ある画質を楽しめ、映画やドキュメンタリー番組などと相性がよいです。

一方、発色や色の表現では、後述するIPSパネルや有機ELパネルに劣り、全体的に暗めの感じがでます。視野角も狭めであり、横などからのぞき込むと色がにじむことがあります。

また、応答速度も遅いため、PCモニターやゲーム用には不向きです。

VAパネルの4K液晶テレビ(ハイセンス 43E6800)。 コントラストが高く映画などは深みが増すが、明るさや視野角に難あり。

VAパネルの液晶テレビ↓

■関連記事:
ハイセンス43型4K液晶テレビ「43E6800」購入評価レビュー、期待を裏切る中国性能

 

3.IPSパネル

IPSパネルは液晶テレビのパネルとして広く普及しましたが、近年はVAパネルにシェアを奪われつつあります。

とはいえ明るさや視野角に優れるため、まだまだIPSを愛好する人も多いようです。IPS=In-Plane Switchingを意味します。

IPSパネルのメリット:
・発色がよい、色の表現が豊か
・明るい
・視野角が広い


IPSパネルのデメリット:

・コントラストではVAパネルに劣る
・全体的に白っぽくみえることがある
・価格が高め

IPSパネルの最大のメリットは、発色がよく、鮮やかで明るいことです。

おなじ映像でもTNパネルやVAパネルよりはっきりとキレイに映し出せ、白のような明るい色もクリアに表現します。そのため、明度の高いバラエティ番組などを楽しむのに向いています。

視野角も広く、上下左右からのぞき込んでも違和感なく見れるため、リビングのように、さまざまな方向から観る場所にも向いています。

ただし、コントラストの表現はVAパネルより劣るため、全体的に白っぽい(蛍光灯の部屋のようなイメージ)映像になりやすく、安っぽくみえることがあります。

IPSパネルの32型液晶テレビ(ハイセンス 32N20)。IPSは明るく、鮮やかなため、バラエティ番組やネット動画向け。

IPSパネルの液晶テレビ↓

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関連記事■
ハイセンス32型スマートテレビ「32N20」購入評価レビュー、動画再生やスマホ連動もあって便利

 

4.有機ELパネル

有機ELパネルは、次世代のパネルであり、高性能テレビやスマホなどに用いられることが多いです。有機EL=有機エレクトロ・ルミネッセンス(Electro Luminescence)を意味します。

なお有機ELは発光ダイオードで構成されており、厳密には「液晶パネル」ではありません。

現在、有機ELパネルの製造は韓国の「LG」社の独占状態にあり、LGからパネルを仕入れ、各メーカーが有機ELテレビを開発、製造しています。

有機ELパネルのメリット:
・高画質、綺麗でハッキリとした映像
・視野角が広い

・軽い、薄い
・画面遅延が少ない


有機ELパネルのデメリット:

・コストが高い
・消費電力が多い
・寿命が短い

有機ELパネルは、1画素ごとに明るさを調整できるので、完全な黒を再現することができます。

そのため、画質の良さはずば抜けており、液晶パネルに比べ、圧倒的な明るさ、鮮やか、コントラストを実現しています。

ただしコストが高いのが欠点であり、有機ELテレビの多くは55インチ以上であり、価格は最低でも20万円以上が相場となっています。

消費電力も液晶テレビの2倍以上に跳ね上がり、55インチで消費電力400Wを越えてくるモデルも少なくはありません(液晶パネルの場合、55インチで150W程度が平均的)。

寿命も液晶パネルの半分程度といわれており、有機ELパネルは経済的な面で欠点が多くなります。

最近ではスマホなどにも使われている有機ELパネル。 画面の美しさではダントツだが、消費電力が大きく、寿命も短い。

有機ELテレビ↓

 

明るさの比較

明るさの水準をレベル分けすると、一般的には次のような順になります。

明るい:有機ELパネル>IPSパネル>VAパネル>TNパネル:暗い

バラエティ番組やネット動画など、色鮮やかで明度の高い番組を楽しむ場合には、有機ELやIPSなど、明るさに強いパネルが向いています。

コントラストの比較

コントラストの水準をレベル分けすると、一般的には次のような順になります。

コントラスト高:有機ELパネル>VAパネル>IPSパネル>TNパネル:コントラスト低

コントラストで重要になる「黒色」の表現は、有機ELがずば抜けており、続いてVAパネルが続きます。

映画やドキュメンタリー番組など、コントラストの引き締まった感じが問われる映像をよく楽しむ人にとっては、重要視する部分です。

視野角の比較

視野角の水準をレベル分けすると、一般的には次のような順になります。

視野角広い:有機ELパネル>IPSパネル>VAパネル>TNパネル:視野角狭い

有機ELやIPSは視野角が広く、真横や左右からのぞき込んでも、綺麗に映像が目られます。そのためリビングなどに置き大勢で楽しむ場所に向いています。

またインチサイズが大きくなると自然と視野角ができるため、大型テレビにおいても有機ELやIPSの視野角が強みとなります。

VAやTNの場合は、視野角がつくと画面が暗くみえたり、色が変色してみえることがあるため、画面を正面にかまえて視聴する必要があります。

応答速度の比較

応答速度の水準をレベル分けすると、一般的には次のような順になります。

応答速度速い:有機ELパネル※>TNパネル>IPSパネル>VAパネル:応答速度遅い

応答速度は、格闘ゲームやシューティングゲームなど、瞬時の反応が問われるゲームを楽しむ際に重要になります。

応答速度が速いのはTNパネルであり、逆に遅さが目立つのはVAパネルです。

有機ELパネルは少々特殊で、数値上は液晶パネルの100倍以上速く、単位もms(ミリ秒)台ではなく、μs(マイクロ秒)台の世界になります。

ただし、有機ELパネルの場合、焼き付き抑止や寿命延命のため、表示を遅延させる動作が組み込まれていることが多く、応答速度自体は速くとも、画面に反映されるまでに1フレーム程度のラグが発生することがあります。

そのため有機ELパネルのテレビは商品によって、遅延の大小はまちまちです。

一方でVAパネルは、一般的に応答速度が遅いパネルとされていますが、東芝やハイセンスなどのメーカーでは、システム側で応答速度を短縮する機能を実装し、VAパネルながら
応答速度をなんと約0.83msまで縮めているモデルもあります。

総括:テレビ選びはパネル選びから

家電量販店などで見比べてみるとよくわかると思いますが、同じメーカーのテレビであってもパネルが違うことで映像の映り方が大きく変わります。

現在の液晶テレビは、VAパネルとIPSパネルが主流となっていますが、この2つは価格帯が似ているものの性質が大きく異なるため、その差をよく理解しておくことが大切です。

購入する前にメーカー公式サイトなどをみて、どのパネルを採用しているテレビなのかを確認したいところ。

ただし、東芝やSONYなどでは、最近、最新モデルのパネル方式を公開していないことがあるので、少々厄介になってきました。


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